精選版 日本国語大辞典 「多羅葉」の意味・読み・例文・類語
たら‐よう ‥エフ【多羅葉】
〘名〙
① タラジュの葉。古くインドで経文を彫りつけた。また、経文を彫った金銀銅などの金属の薄片もいう。貝多羅葉(ばいたらよう)。
※九冊本宝物集(1179頃)九「みな申侍らば、多羅葉のはにかきて」
※俳諧・類船集(1676)保「多羅葉(タラヨウ)に書し経文は」
② モチノキ科の常緑高木。中部以西の本州、四国、九州の山地に野生し、高さ一〇メートルに達する。葉は革質で長さ一〇~二〇センチメートルの長楕円形、縁に細鋸歯(きょし)がある。雌雄異株。春、葉腋に多数密生した小さな緑黄色の四弁花を開く。果実は径約八ミリメートルの球形で赤熟する。葉は茶の代用、材は細工物に用い、樹皮から鳥もちをつくる。葉面を傷つけるとあとが黒くなるので、タラジュの葉にちなんでこの名がある。観賞用などに寺院や庭園で栽植されることも多い。もんつきしば。のこぎりしば。
※わらんべ草(1660)四「弓を、御だらしと云は、たラようの木にて、つくりはじめしよりの名也」 〔大和本草(1709)〕
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