江戸時代前期の代表的本草書。貝原益軒著。1709年(宝永6)刊。本編16巻,付録2巻,図譜(諸品図)3巻。和漢洋の動・植・鉱物1362種(うち国産品種358)を,中国の《本草綱目》にみられる分類法に準じながらも独自の立場で分類した。若いときから親しんだ中国の書物による知識と,長年にわたって国内で実地に観察検証した結果にもとづいて著述した,独創性の高い内容をもっている。品目の選定や記述に薬用の範囲を越えた博物学的性格を加えていて,日本の本草学研究の博物学化を示す最初の書である。同時に,栽培薬種の品目の採用が目だつという点で,当時の商品作物の栽培,商業的農業という薬種の国内自給のための農村の経済対策の反映がみられ,学問的実証性と庶民・農民のための有用性を併せもった益軒の実学性を示す代表作である。
執筆者:宗田 一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
江戸前期の代表的本草書。貝原益軒(えきけん)著。本編16巻は1709年(宝永6)刊。諸品図2巻・付録2巻は15年(正徳5)刊。中国明代の「本草綱目」に載る772種,その他の本草書所載203種,和産品358種,海外品29種,計1362種の天産物を独自の分類法で分類。「本草綱目」より人為的な分類だが,より実用的・博物誌的である。長年の実地調査と実験にもとづく記述で,日本の本草学の自立を示した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…その後も盛んに中国から本草学が導入されたが,漢籍を日本風に理解したのと呼応して,植物学でも,中国で記述された種を日本風に解釈するにとどまっていた。やっと18世紀になって,貝原益軒の《大和本草》(1709)や稲生若水の《庶物類纂》(未完),小野蘭山《本草綱目啓蒙》(1806)などによって日本風の本草学が集成されていった。江戸時代末にはC.P.ツンベリーやP.F.vonシーボルトなどを介して西洋本草学の影響が及び飯沼慾斎《草木図説》(1852),岩崎灌園《本草図譜》(1828)などが出版され,日本の植物についての高い知見が示されていった。…
※「大和本草」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加