大和本草(読み)ヤマトホンゾウ

デジタル大辞泉 「大和本草」の意味・読み・例文・類語

やまとほんぞう〔やまとホンザウ〕【大和本草】

江戸中期の本草書。16巻、付録2巻、諸品図3巻。貝原益軒著。宝永5年(1708)成立。「本草綱目所収のもの772種に日本特産品や西洋渡来品などを加え、計1362種について分類・解説してある。

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精選版 日本国語大辞典 「大和本草」の意味・読み・例文・類語

やまとほんぞうやまとホンザウ【大和本草】

  1. 江戸中期の本草書。一六巻・付録二巻・諸品図二巻。貝原益軒著。宝永五年(一七〇八)成立、同六年刊。また、付録と諸品図は正徳五年(一七一五)刊。「本草綱目」所載のものを基礎に、中国・日本・西洋産を加え、計一三六二種の本草を集成・分類し、各品種の名称特質などを解説する。

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改訂新版 世界大百科事典 「大和本草」の意味・わかりやすい解説

大和本草 (やまとほんぞう)

江戸時代前期の代表的本草書。貝原益軒著。1709年(宝永6)刊。本編16巻,付録2巻,図譜(諸品図)3巻。和漢洋の動・植・鉱物1362種(うち国産品種358)を,中国の《本草綱目》にみられる分類法に準じながらも独自の立場で分類した。若いときから親しんだ中国の書物による知識と,長年にわたって国内で実地に観察検証した結果にもとづいて著述した,独創性の高い内容をもっている。品目の選定や記述に薬用の範囲を越えた博物学的性格を加えていて,日本の本草学研究の博物学化を示す最初の書である。同時に,栽培薬種の品目の採用が目だつという点で,当時の商品作物の栽培,商業的農業という薬種の国内自給のための農村の経済対策の反映がみられ,学問的実証性と庶民・農民のための有用性を併せもった益軒の実学性を示す代表作である。
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百科事典マイペディア 「大和本草」の意味・わかりやすい解説

大和本草【やまとほんぞう】

貝原益軒の本草書。16巻,1709年刊。付録2巻と図譜(諸品図3巻)は1715年刊。明の《本草綱目(こうもく)》を参考にしてはいるが,独自の分類法に従って,和漢洋の動・植・鉱物1362種(うち国産358品種)を自己の具体的知識に基づき,名称,来歴,形態,効用などについて国文をもって体系的に記述。博物学的研究書であると同時に,栽培薬種を多く採用,薬種国内自給のための農村に対する経済対策の面もうかがわれ,益軒の実学性があらわれている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大和本草」の意味・わかりやすい解説

大和本草
やまとほんぞう

江戸時代の本草書。1708年(宝永5)に貝原益軒が著した。益軒の著作の大半は50歳以降の作で、『大和本草』も79歳のときに完成、翌年に刊行されている。『本草綱目』収載品のなかから、日本に産しないものおよび薬効的に疑わしいものを除き、772種をとり、さらに他書からの引用、日本特産品および西洋からの渡来品などを加え、1362種の薬物を収載した。全体としては博物学的な傾向にあるが、しばしば薬効にも触れている。『養生訓』とともに益軒の代表作である。

[難波恒雄・御影雅幸]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「大和本草」の解説

大和本草
やまとほんぞう

江戸前期の代表的本草書。貝原益軒(えきけん)著。本編16巻は1709年(宝永6)刊。諸品図2巻・付録2巻は15年(正徳5)刊。中国明代の「本草綱目」に載る772種,その他の本草書所載203種,和産品358種,海外品29種,計1362種の天産物を独自の分類法で分類。「本草綱目」より人為的な分類だが,より実用的・博物誌的である。長年の実地調査と実験にもとづく記述で,日本の本草学の自立を示した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大和本草」の意味・わかりやすい解説

大和本草
やまとほんぞう

貝原益軒著。 16巻,付図2巻。宝永6 (1709) 年刊。益軒みずからが国内各地を旅行し,得た知識をまとめて編述したもので,江戸時代における博物学の見地から書かれた本草書として知られる。 1366種の物品の名称,来歴,形状,異同,効用を述べ,必要なものには挿絵を入れてある。

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旺文社日本史事典 三訂版 「大和本草」の解説

大和本草
やまとほんぞう

江戸中期,貝原益軒の本草書
1709年刊。本文16巻,付録2巻,諸品図2巻。日本・海外の産物および諸書からとった動・植・鉱物の1362種につき,水類・火類・金玉土石類・穀類・魚類など独自の分類法で名称・起源・形状・生産・異同・効用などを論じた。日本の博物学的本草学は本書により確立したといえよう。

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世界大百科事典(旧版)内の大和本草の言及

【本草学】より

…その後も盛んに中国から本草学が導入されたが,漢籍を日本風に理解したのと呼応して,植物学でも,中国で記述された種を日本風に解釈するにとどまっていた。やっと18世紀になって,貝原益軒の《大和本草》(1709)や稲生若水の《庶物類纂》(未完),小野蘭山《本草綱目啓蒙》(1806)などによって日本風の本草学が集成されていった。江戸時代末にはC.P.ツンベリーやP.F.vonシーボルトなどを介して西洋本草学の影響が及び飯沼慾斎《草木図説》(1852),岩崎灌園《本草図譜》(1828)などが出版され,日本の植物についての高い知見が示されていった。…

※「大和本草」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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