日本大百科全書(ニッポニカ) 「大うつ病エピソード」の意味・わかりやすい解説
大うつ病エピソード
だいうつびょうえぴそーど
抑うつ気分と興味・喜びの著明な減退とが2週間の間にほぼ毎日みられること。「エピソード」とは、ある状態が持続している期間という意味。アメリカ精神医学会が作成する精神障害の診断的分類表であるDSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、精神障害の診断と統計の手引き)の第4版では、主要な診断基準となっている。この二つのかならず存在する症状を含め、体重の減少か増加(食欲の減退か増加)、不眠か過眠、精神運動(話し方や動作)の制止か焦燥、易疲労性・気力減退、強い罪責感・無価値感、思考力・集中力の低下、自殺念慮などのうち5項目かそれ以上が認められる場合に診断される。
抑うつ気分とは、悲しいあるいは空虚だとことばに出したり、他人からみて落ち込んだり涙を流しているようにみえたりすることである。また興味・喜びの著明な減退とは、それまで行っていたほとんどすべての活動に興味や喜びを感じないとことばに出したり、他人からそうみえたりすることである。
DSMは、日本でも多くの精神科医が精神障害の診断の参考となる手引として用いる精神疾患診断・統計マニュアルで、このなかには大うつ病エピソードの診断基準について詳細に示されているほか、大うつ病エピソードの対極にある、そう病エピソードなどの診断基準についても詳細に記されている。一般にうつ病はそれ単独(単極性)でみられることも多いが、そう病も伴う双極性(そううつ病)のものもある。2013年に改訂されたDSMの第5版(DSM-5)では、単極性うつ病と双極性障害(そううつ病)は異なる精神疾患として別々に扱われている。また双極性障害はそうとうつが交互に現れるものと、軽そうとうつを繰り返すものとに分けられる。
[編集部 2017年1月19日]