大和井(読み)やまとうがー

日本歴史地名大系 「大和井」の解説

大和井
やまとうがー

[現在地名]平良市西仲宗根

市街地の北東西仲宗根にしなかそねにある洞井水。方音ではヤマトゥガー。国指定史跡一帯は第四紀更新世の琉球石灰岩からなる標高一〇―一五メートルの多少起伏のある地で、当井は東西に数十メートルの長軸をもつ楕円形状の陥没ドリーネ内の東端壁面下にある降り井。井戸は径約三メートル、深さ三・五メートルほど。井戸の周囲は琉球石灰岩の切石できれいに積まれ、降口は西側に設けられ、左に曲るようにして降りる。井戸の底は東半分が水場で、西半分が平場になっている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「大和井」の解説

やまとがぁ【大和井】


沖縄県宮古島市平良にある井戸の石造遺跡。隆起珊瑚礁の宮古島には川はなく、海岸付近などには雨が地下水となって湧き出す箇所があり、「がぁ(井戸、泉)」と呼ばれ、貴重な生活用水として利用されてきた。大和井はその一つで、1720年(享保5)ごろに掘られたと推定され、近接するぶとら井とともに1992年(平成4)に国の史跡に指定された。大和井は石段を降りた下にある降()り井で、周囲約20m、大小の切り石を高さ6m余にわたって円形に積み上げ、穴の底に石を敷きつめた広場を設け、その奥に井泉を穿っている。広場までは折れ曲がった石段が続いており、その途中には門扉が設けられたと思われる閂(かんぬき)の跡が残る。伝承によれば、この井戸は首里王府や薩摩藩から派遣された役人専用の井戸であったといわれている。宮古島に他に類のない石細工や厳重な管理の様子をうかがわせる閂の跡は、この伝承を裏づけている。ぶとら井は、より簡素な造りの井戸で、一般の住民用として用いられていたものと考えられており、両井戸は人々の暮らしと石工技術のみごとさを示す石造遺跡とされている。宮古空港から車で約15分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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