中国,明代の総合的行政法典。《唐六典》等を模して明初以来の諸法令を集大成したもの。2種類がある。一つは《正徳会典》(180巻)と略称する。初め1502年(弘治15)に徐溥らが勅を受けて編纂したが,孝宗崩御のために頒布されず,09年(正徳4)李東陽らがそれを修訂して頒布された。文武各役所の職掌について《諸司職掌》以下,《皇明祖訓》《御製大誥》《大明令》《大明集礼》《洪武礼制》《礼儀定式》《稽古定制》《孝慈録》《教民榜文》《大明律》《軍法定律》《憲綱》等の書を引用して詳述している。もう一つは《万暦会典》(228巻)と称する。これより前,嘉靖年間(1522-66)に《続修大明会典》(53巻)が編纂されたが頒行されず,1576年(万暦4)にいたって張居正らが勅を奉じて続修に着手し,申時行らによって完成,頒布された。これは正徳から万暦までの事例を追加したもので,形式は《正徳会典》を踏襲しているが,引用書名を挙げないなど若干の相違もある。しかし両者とも明代の制度を知るうえでの根本史料である。
→会典
執筆者:谷口 規矩雄
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…そしてこの形式は,宋・元にもある程度うけつがれ,明・清にいたって〈会典〉となった。明代では《大明会典》(略称《正徳会典》,1509)とこれを増修した《重修大明会典》(俗称《万暦会典》,1587)がこれであり,清代では《康熙会典》(1690),《雍正会典》(1732),《乾隆会典》(1764),《嘉慶会典》(1812),《光緒会典》(1899)の5種の《大清会典》がある。なお,李氏朝鮮の《経国大典》(1471)やベトナムの《大南会典》などもこの形式によっている。…
…明代民間のいわゆる奴婢は実際にはこの雇工人の律によって取り扱われたと思われる。 明代には国初の大明令のほかに,万暦年間(1573‐1619)に至って《大明会典》の編纂が行われ,これは政府の各衙門の職掌を詳述した行政法ないしは服務規程のごときものである。会典の編纂は清朝に入って盛行し,康熙,雍正,乾隆,嘉慶,光緒の各代に勅撰された。…
※「大明会典」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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