日本大百科全書(ニッポニカ) 「大船渡線」の意味・わかりやすい解説
大船渡線
おおふなとせん
東日本旅客鉄道(JR東日本)の線路名称。一ノ関(岩手県)―気仙沼(けせんぬま)(宮城県)間62.0キロメートル、全線単線、非電化。北上(きたかみ)高地を横断して東北本線と三陸地方を結ぶ鉄道の一つである。1925~1935年(大正14~昭和10)に一ノ関―盛(さかり)間105.7キロメートルを開業したが、陸中門崎(かんざき)―千厩(せんまや)間では地元有力政治家がルートの奪い合いをした結果、極端な迂回(うかい)線となっている。1987年(昭和62)、日本国有鉄道(国鉄)の分割民営化に伴い、JR東日本に所属。愛称は、線形が竜の形に見えることなどからドラゴンレール大船渡線とつけられた。2011年(平成23)3月11日の東日本大震災により全線不通となった。同年4月に一ノ関―気仙沼間は鉄道で復旧したが、津波による被害が大きかった気仙沼―盛間43.7キロメートルは多額の復旧費用を要することなどから2013年3月にBRT(バス高速輸送システム)として復旧された。同区間の線路敷きの一部はBRTのバス専用道として利用されているが、2020年(令和2)4月1日で気仙沼―盛間の鉄道事業は廃止された。
[青木栄一・青木 亮 2020年11月13日]