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大衆社会論 たいしゅうしゃかいろん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

大衆社会論
たいしゅうしゃかいろん

産業革命後の近代市民社会から現代大衆社会への移行の際に現れた,「大衆」の社会的役割と意義づけに関する社会学的理論のこと。大衆社会が出現したとき,G.ル・ボンや J.ブルクハルトらはエリートが大衆の圧力にさらされる状況だと考え,オルテガ・イ・ガセットは大衆がエリートに操作される状況だとみなした。一方 K.マンハイムは,大衆の登場によりエリートの閉鎖性が破られたと評価しながらも,逆に大衆動員によって一部エリートが全体主義的支配を行いうる可能性が開かれたと考えた。このような危惧は,E.レーデラーや H.アーレントらも表明した。つまり形式的平等主義に基づく大衆社会においては,伝統的権威が解体される一方,大衆支配と反エリート主義という新たな権威が生れ,大衆参加という擬似的な権威を掲げたデマゴーグの登場を容易にするというのである。だがこのような極端な状況に進まないまでも,大衆社会においてはしばしば「大衆社会的疎外」が生れ,大衆が強力なエリートの標的となることは確かである。 D.リースマンの『孤独なる群衆』や E. H.フロムの『自由からの逃走』は,このような人間性喪失の状況を表現しようとしたものである。なおこうした見方に対しては,大衆のエネルギーを過小評価して大衆をマイナス・シンボル視しているといった批判が投げられている。日本の第2次世界大戦後の大衆社会論争は,このような批判をめぐって展開されたものである。

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世界大百科事典内の大衆社会論の言及

【管理社会】より

…あらゆる制度を一本化して頂点で結び,上からの徹底した管理をねらったのはナチズムの等制Gleichschaltungであったが,ナチスはこの体制を実施するうえでソ連の一党独裁制に悪い意味で学んだといわれる。そこで,1930年代から第2次大戦後にかけての大衆社会論は,ナチズムを典型とするファシズムとともにある程度までスターリン主義をも念頭におきながら,現代的独裁制のもとにおける支配者の徹底的な大衆管理を批判した。また,とくに戦後のアメリカで展開された大衆社会論は,大衆管理の手段としてのマス・メディアの発達をも重視し,アメリカのような民主主義的産業社会にも徹底した大衆管理が出現する可能性を指摘した。…

※「大衆社会論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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