日本大百科全書(ニッポニカ) 「大都市高齢者」の意味・わかりやすい解説
大都市高齢者
だいとしこうれいしゃ
首都圏や大阪府、愛知県などの都市圏で暮らす高齢者のこと。1947年(昭和22)~1949年に生まれた団塊の世代が75歳以上になる2025年には、都市部で生活する高齢者が、2010年(平成22)の2倍近くまで急増すると予測されている。国立社会保障・人口問題研究所が2010年と2025年を比較した推計によると、75歳以上の高齢者増加率がもっとも高くなるのは埼玉県の2倍で、75歳以上の人口は117万7000人。千葉県は同1.92倍の108万2000人、神奈川県は同1.87倍の148万5000人。首都圏以外では、大阪府が同1.81倍の152万8000人、愛知県が同1.77倍の116万6000人と、いずれも高い比率になっている。これらの都市に次ぐ東京都は同1.6倍の197万7000人である。この2025年に社会保障費はピークに達し、都市部の介護、医療関連施設は供給不足になることが懸念されている。しかし、都市部では建設用地の不足や地価の高さなどの点から、新たな施設の建設はむずかしいというのが実情である。このような大都市圏特有の高齢化による社会問題は「2025年問題」とよばれている。
厚生労働省は2013年5月より、有識者と都市部の自治体代表者で構成され、オブザーバーとして総務省、国土交通省などの関係省庁が参加する「都市部の高齢化対策に関する検討会」を毎月開催。同年9月には、2025年の高齢者像の変化と医療・介護サービス提供体制の状況を想定し、都市部は多様な人材、整備された生活インフラ、活発な企業活動等の強みを生かした地域包括ケアシステムの構築を目ざすべきとする報告書をまとめた。
[編集部]