名古屋市中区大須にある真言宗智山(ちさん)派の寺。真福寺(しんぷくじ)の通称で、寶生院(ほうしょういん)ともいう。山号は北野山。14世紀ころ能信(のうしん)が密法を伝えるため、美濃(みの)国中島郡大須庄(岐阜県羽島市)に一寺を建立したのに始まる。1350年(正平5・観応1)後村上(ごむらかみ)天皇の勅願所となり、52年に摂津国(大阪府)四天王寺(してんのうじ)から伝空海作の聖観音(しょうかんのん)像を移して本尊とした。のち戦乱や天災で寺勢が衰えたが、1612年(慶長17)徳川家康により現在地に移転、以後徳川家の庇護(ひご)を受けて栄えた。国宝の『翰林(かんりん)学士詩集』『古事記』『琱玉集(ちょうぎょくしゅう)』『食貨志(しょっかし)』、国指定重要文化財の『本朝文粋(ほんちょうもんずい)』『将門記(しょうもんき)』など古典籍を多数蔵し、それらは真福寺本(大須本)として知られる。万松寺(ばんしょうじ)通りとよばれる門前町は盛り場となっている。
[金岡秀友]
…山号は北野山宝生(ほうじよう)院。当初は大須庄(現在の岐阜県羽島市)にあり,伝空海作の観音像を本尊としたので大須観音ともよばれる。14世紀中ころ伊勢神官度会(わたらい)行家の子能信が創建,後村上天皇勅願所となり,1612年(慶長17)徳川家康の命で現在地に移された。…
※「大須観音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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