改訂新版 世界大百科事典 「大鳥荘」の意味・わかりやすい解説
大鳥荘 (おおとりのしょう)
現在の大阪府堺市西区の鳳地区近辺を荘域とした皇室領荘園。1257年(正嘉1)ころ,国衙領の大鳥郷が室町院(後堀河天皇女暉子)領として立券され成立。女院の没後,持明院統に伝領されるが,南北朝以降になると,領家職が河内金剛寺の祈祷料所とされ,また荘内下条が北野宮寺造営料にあてられるなど,領有関係は錯綜してくる。平安末期の国衙領のときから郷内に摂関家大番舎人(とねり)が居住し,その雑役免田が設定されていたが,彼らは刀禰として村落支配の実権を掌握していた。1224年(元仁1)関東御家人田代信綱が地頭に補任されて以降,領主権の拡大を目ざす地頭と諸勢力との抗争が続き,1311年(応長1)には荘園領主との間で下地中分が行われる。また大番舎人らも近隣の在地勢力を結集して悪党化し,地頭に対抗した。南北朝期には地頭田代氏は北朝にくみし,悪党との抗争を続けるがしだいにこれを圧倒し,室町期には所領の一円的支配を実現する。
執筆者:勝山 清次
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報