天子ヶ岳(読み)てんしがたけ

日本歴史地名大系 「天子ヶ岳」の解説

天子ヶ岳
てんしがたけ

南部町と静岡県芝川しばかわ町および富士宮市の境にまたがる山。標高一三三〇メートル。北は長者ちようじやヶ岳につながり、東方に富士山を一望できる。弘安元年(一二七八)八月一四日の日蓮書状(日蓮聖人遺文)身延みのぶ山の位置を示すうちに、「ひんかしにはてんしのたけ、つねにひをみる」と記される。山頂にはヨウラクツツジ(瓔珞躑躅)が植生し石祠が祀られているが、このツツジの枝を折って持帰ると必ず嵐になると伝えている。山名はこうした天神(水神)信仰と深くかかわっているものと考えられる。山麓には炭焼長者の伝説が伝わる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「天子ヶ岳」の意味・わかりやすい解説

天子ヶ岳
てんしがたけ

山梨県南巨摩(みなみこま)郡南部町(なんぶちょう)と静岡県富士宮市(ふじのみやし)の境界に位置する山。標高1330メートルで天守山地(てんしゅさんち)南部の中心的な山。山頂には雨乞(あまご)い風習を伝承する瓔珞ツツジ(ようらくつつじ)があり、「炭焼き長者」の伝説が伝わる。静岡県側の朝霧(あさぎり)高原、山梨県側の佐野川上流の小草里(おぞうり)などからハイキングコースが開かれているほかに、東海自然歩道が山頂付近を通っている。

吉村 稔]

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