初夢(読み)ハツユメ

デジタル大辞泉 「初夢」の意味・読み・例文・類語

はつ‐ゆめ【初夢】

新年最初に見る夢。ふつう元日または2日の夜に見る夢をいう。古くは、節分の夜に見る夢をいった。 新年》「―に古郷ふるさとを見て涙かな/一茶
[類語]夢心地夢見心地夢現ゆめうつつ正夢逆夢悪夢夢路夢魔むま空夢残夢

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精選版 日本国語大辞典 「初夢」の意味・読み・例文・類語

はつ‐ゆめ【初夢】

  1. 〘 名詞 〙 年の初めに見る夢。
  2. (イ) 節分の夜から立春の明けがたに見る夢。
    1. [初出の実例]「たつ春の朝よみける 年くれぬ春来べしとは思ひ寝にまさしく見えてかなふ初夢」(出典:山家集(12C後)上)
  3. (ロ) 大晦日の夜から元日の朝にかけて見る夢。または正月元日の夜の夢。また、二日の夜の夢。宝船の絵を枕の下に敷いて寝ると吉夢を見るといわれる。《 季語・新年 》
    1. [初出の実例]「初夢や浜名の橋の今のさま〈越人〉」(出典:俳諧・曠野(1689)二)

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改訂新版 世界大百科事典 「初夢」の意味・わかりやすい解説

初夢 (はつゆめ)

正月に初めて見る夢のことで,その内容からその年の吉凶を占う夢占の意図があった。正月2日が仕事始めであるので,2日に見る夢を初夢といい,〈一富士・二鷹・三茄子(なすび)〉を縁起の良い夢の代表とした。一部には〈夢は逆夢〉といい,逆の結果を予想する所もある。中国の俗説を受けて,良い夢を見るために,夢を食うという貘(ばく)を描いた紙を枕の下に入れて寝る習俗が,宮中公家を中心に広まり,室町時代には宝船の絵を敷いて寝るようにもなった。江戸時代,とくに浮世絵の隆盛をみる元禄期から,この習俗は一般庶民の間に広まって,七福神も付け加えられ,元日には,〈お宝,お宝〉といって絵を売り歩く宝船売の姿が見られた。これらの絵は,悪い夢を見た場合には,翌日の朝に川などに流す習慣で,前年の厄をそれにつけて流し去る意図もあった。元来は,邪鬼を払うための呪具を,枕の下に敷く風習が変化したものである。初夢は,西行の《山家集》にも見られるように,古くは節分の夜,すなわち立春の朝の夢をいったらしく,上方にはその風習が残ったが,江戸では大晦日や元日の夜,後には2日の夜を初夢とした。夢は,人間と神仏が交わる回路と信じられており,初夢は,年の変り目という時間のさけめにあたって,夢枕に立つ神仏のお告げを知る夢占の性格が強いのが本来のあり方である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「初夢」の意味・わかりやすい解説

初夢
はつゆめ

新しい年を迎えて初めてみる夢。その吉凶で年間の運勢を判断する「夢占(ゆめうら)」の習俗は古く、以前は節分の夜(立春の朝)の夢を初夢としたが、暦制の関係から除夜や元日の夜に移り、やがて「事始め」の正月2日の夜の夢に一定したらしい。すでに室町時代には正月2日夜「宝船」の紙を枕(まくら)の下に置いて寝る風習が始まっており、江戸時代に下ると「宝船売り」が江戸の風物詩として広く親しまれるようにもなっていた。七福神の宝船図、「ながきよのとおのねぶりのみなめざめ、なみのりふねのおとのよきかな」という回文の歌などもつとに固定したらしい。ともかく初夢に特別の関心が寄せられると、こうした「吉夢」をみようというまじないが生じ、また「悪夢」は宝船に添えて川に流す風習や、夢を食べるという架空の動物「バク」の絵を用いるといった「夢たがえ」の風習も生じた。「夢占」という、夢で吉凶を判ずる庶民の伝統は古いが、とくに年初の「初夢」には関心が強く、こうした「初夢」の習俗をおのずから生ずることになったのである。

[竹内利美]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「初夢」の意味・わかりやすい解説

初夢
はつゆめ

新年になって最初にみる夢。その年の吉凶を占おうとする夢占の一種である。朔望暦である旧暦法では立春に先立つ朔 (ついたち) を元日としたため,古くは節分の夜の夢を初夢としたが,その後,暦日の関係から大みそかや元日の夜となり,さらに事始めが正月の2日であることから2日の夜の夢を初夢とするようになった。中世以来,その夜,宝船の絵を枕の下に敷いて寝る風習が生れ,悪い夢を見ればその絵を水に流したという。宮中では宝船の帆に「貘 (ばく) 」という字を書いた絵を宮家,堂上家に下賜されたが,貘は人の悪夢を食べるという想像上の動物で,これによって邪気を払うという意味があった。「一富士,二鷹,三茄子」の夢を吉とする俗信は江戸時代に生れた。

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百科事典マイペディア 「初夢」の意味・わかりやすい解説

初夢【はつゆめ】

新年に初めて見る夢。夢占(ゆめうら)としてその年の吉凶を占う。当初は除夜の夢であったが,除夜には寝ない習慣のせいか江戸中期から元日の夜の夢となり,他の事始めが2日なので2日夜の夢となった。室町時代から宝船を枕の下に敷いて寝ると吉夢を見るという風習が広まった。吉夢を順に並べて〈一富士・二鷹・三茄子(なすび)〉などという。

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デジタル大辞泉プラス 「初夢」の解説

初夢

古典落語の演目のひとつ。

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