あさぎり

改訂新版 世界大百科事典 「あさぎり」の意味・わかりやすい解説

あさぎり[町]

熊本県南部,球磨(くま)郡の町。2003年4月免田(めんだ)町と上(うえ),岡原(おかはる),須恵(すえ),深田(ふかだ)の4村が合体して成立した。人口1万6638(2010)。

あさぎり町中南部の旧村。球磨郡所属。人口5404(2000)。南は宮崎県に接し,南部は標高1417mの白髪岳などの山地に占められる。山麓に扇状地があり,北端には人吉盆地南部にあたる台地が開け,球磨川支流の免田川が北西流する。農林業が基幹産業で,米,タバコ,ナシの栽培,畜産などが盛んであり,杉,ヒノキの良材を産し,シイタケワサビを特産物としている。谷水薬師堂や人吉城の外城の一つで上村氏が1557年(弘治3)まで居城とした上村城跡,連房式の登窯の遺構である上村窯跡などがある。

あさぎり町東部の旧村。球磨郡所属。人口2935(2000)。南東部は国見山地に属する山地であるが,北西部には平地が開け,人吉盆地の一角をなす。球磨川から取水する百太郎溝,幸野溝など灌漑用水に恵まれ,人吉盆地でも有数の水田地帯となっている。米を中心にタバコ,イグサの栽培,メロン,スイカなどの施設園芸,畜産なども盛んである。室町時代の建築様式を残す岡原観音堂がある。

あさぎり町北端の旧村。球磨郡所属。人口1471(2000)。北部は九州山地に属する山々が占めるが,中南部は球磨川沿岸の沖積低地で,人吉盆地の一角をなす。主産業は農業で,米作,タバコ・茶の栽培,畜産などが盛ん。阿蘇集落の平等寺跡にある阿蘇釈迦堂には,平安時代の様式を伝える釈迦三尊像がある。

あさぎり町北西部の旧村。球磨郡所属。人口1950(2000)。人吉盆地の中央に位置し,南部を球磨川が流れる。中北部は標高200~500mの山地からなり,山林が村域の多くを占め,球磨川と支流の銅山川流域に平地が開ける。集落の中心は合流点付近にあり,かつて球磨川水運が盛んであったころは農産物や銅山川上流の深田銅山の銅などの集散地として栄えたが,鉄道の開通や道路の整備により衰退した。深田銅山も1944年に廃鉱となった。米を中心にタバコ,イグサの栽培,イチゴ,メロンなどの施設園芸,肉牛飼育を主とする畜産などが盛ん。中央部にある高山(275m)は,人吉盆地を一望する。東部の荒茂(あらも)には毘沙門堂があり,平安末期から鎌倉期と伝える毘沙門天像が残る。

あさぎり町中西部の旧町。球磨郡所属。人吉盆地の中央に位置する。人口5991(2000)。国道219号線,くま川鉄道が通る。町域は東西に細長く,北境沿いを球磨川が南西流する。面積10.01km2は県下の市町村中最小。くま川鉄道線が通じ,産業の中心は農業で,米作のほかに畜産やタバコ,イグサ,メロンなどを加えた複合経営が進んでいる。木材の集散地で製材工場が多く,球磨焼酎の醸造工場も立地する。免田式土器の出土地として知られる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「あさぎり」の意味・わかりやすい解説

あさぎり(町)
あさぎり

熊本県南東部、球磨郡(くまぐん)にある町。2003年(平成15)免田(めんだ)町、上(うえ)村、岡原(おかはる)村、須恵(すえ)村、深田村が合併して成立。人吉(ひとよし)盆地の中東部を占め、町域の中央を流れる球磨川に沿って、くま川鉄道、国道219号が通じる。主産業は農林業で、球磨川沿いの中央部低地では稲作、葉タバコなど、台地では野菜、飼料作物の栽培が盛んである。北部と南部は山がちで、林業が主。町の中心地域である免田地区は、免田式土器とよばれる弥生(やよい)土器が出土したことで知られる。北部の須恵地区は、シカゴ大学の社会人類学者ジョン・F・エンブリーJohn Fee Embree(1908ー1950)がその著書『SUYE MURA』によって、第二次世界大戦前の日本農村の典型として、世界に紹介した地域である。面積159.56平方キロメートル、人口1万4676(2020)。

[編集部]


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百科事典マイペディア 「あさぎり」の意味・わかりやすい解説

あさぎり[町]【あさぎり】

熊本県南東部,人吉盆地中部を占める球磨(くま)郡の町。町の中央部を球磨川が西流。2003年球磨郡免田町,上村,岡原村,深田村,須恵村が合併。盆地特有の内陸気候で,年間を通して霧の発生が多い。159.56km2。1万6638人(2010)。

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デジタル大辞泉プラス 「あさぎり」の解説

あさぎり

茶の品種のひとつ。1954年に京都府在来種の実生から京都府茶研が選抜・育成した中生品種。淡緑色の茶葉で、玉露に向く。

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