天栄(読み)てんえい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「天栄」の意味・わかりやすい解説

天栄(村)
てんえい

福島県中通(なかどお)り地方南部、岩瀬郡の村。1955年(昭和30)牧本(まきもと)、広戸(ひろと)、湯本(ゆもと)、大里(おおさと)の4村が合併して成立。新村名は村内の天栄山にちなむ。村域は奥羽山脈の東西両斜面に広がる。近世はほぼ白河藩領で、また茨城街道(国道294号)が通じ、牧之内はその宿場であった。国道118号も通じる。米作中心の農村で、近年ではキュウリなど野菜栽培が増えている。1956年には矢吹原開拓事業(やぶきがはらかいたくじぎょう)の核心である羽鳥湖(はとりこ)が完成し、湖と二岐(ふたまた)、岩瀬湯本(ゆもと)両温泉を含めた地域は大川羽鳥県立自然公園に指定されている。龍ヶ塚古墳は県指定史跡。面積225.52平方キロメートル、人口5194(2020)。

[渡辺四郎]

『『天栄村郷土史資料』(1972・天栄村)』『『天栄村史』全4巻(1987~1990・天栄村)』


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改訂新版 世界大百科事典 「天栄」の意味・わかりやすい解説

天栄[村] (てんえい)

福島県中南部,岩瀬郡の村。人口6291(2010)。中通り地方南部にあり,北は郡山市,須賀川市,会津若松市に接する。村域の大半が山林で,村の西半分は那須岳に連なる標高1500m以上の山々におおわれ,耕地東部阿武隈川支流に沿ってわずかに点在する。中心集落の牧之内は近世,会津本街道の宿駅で,明治後期~大正初期には馬市が開かれてにぎわった。米作や野菜栽培,養蚕畜産を中心とする農業が主産業であるが,近年過疎化が進み,1955年当時1万人をこえた人口は激減し,60年には過疎地域指定を受けたが,近年は企業誘致と住宅団地造成により人口はわずかながら増加に転じた。天栄温泉(セッコウ泉,11℃),岩瀬湯本温泉(セッコウ食塩泉,52℃),二岐(ふたまた)温泉(セッコウ泉,44℃)などがあり,恵まれた自然環境を生かして観光開発も積極的に行われている。
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世界大百科事典(旧版)内の天栄の言及

【天栄[村]】より

…米作や野菜栽培,養蚕,畜産を中心とする農業が主産業であるが,近年過疎化が進み,1955年当時1万人をこえた人口は激減し,60年には過疎地域指定を受けたが,近年は企業誘致と住宅団地造成により人口はわずかながら増加に転じた。天栄温泉(セッコウ泉,11℃),岩瀬湯本温泉(セッコウ食塩泉,52℃),二岐(ふたまた)温泉(セッコウ泉,44℃)などがあり,恵まれた自然環境を生かして観光開発も積極的に行われている。【佐藤 裕治】。…

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