天道花(読み)テントウバナ

デジタル大辞泉 「天道花」の意味・読み・例文・類語

てんとう‐ばな〔テンタウ‐〕【天道花】

4月8日に山からツツジフジなどの花を取ってきて、高いさおの先に結んで立てるもの。中国四国地方で行われる。高花たかはな八日花

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精選版 日本国語大辞典 「天道花」の意味・読み・例文・類語

てんと‐ばな【天道花】

  1. 〘 名詞 〙てんとうばな(天道花)
    1. [初出の実例]「小城下や四五本よりしてんと花」(出典:妻木(1904‐06)〈松瀬青々〉夏)

てんとう‐ばなテンタウ‥【天道花】

  1. 〘 名詞 〙 四月八日灌仏会の日に、長い竹竿の先にツツジ、シャクナゲウツギなどの花を付け軒先に掲げるもの。近畿から中国・四国で行なわれる。てんとばな。高花。《 季語・春 》

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世界大百科事典(旧版)内の天道花の言及

【卯月八日】より

…近畿以東の霊山にある神社では,この日を祭日とする所がかなりある。西日本では〈高花〉〈天道花(てんとうばな)〉〈夏花(げばな)〉などと称して,竹ざおの先にシャクナゲ,ツツジ,シキミ,ウノハナなどを束ね,庭先や木の枝に高く掲げる習俗が卓越している。兵庫県氷上郡では〈花折り始め〉といって,死者があった家では他家に嫁いだ子女が墓参りをする日となっている。…

【ツツジ(躑躅)】より

…【山崎 敬】
【民俗】
 初夏に咲くツツジは農耕開始の象徴とされた。とくに,卯月八日(うづきようか)には〈天道花(てんとうばな)〉といって山から採ってきたフジ,ヤマブキ,ツツジなどの花をさおの先につけて庭先に立てる風習は広く行われたが,天道花は山から神を招く依代(よりしろ)とされたのである。また奈良県の明日香村では,八十八夜前後に苗代に播種した後に,牛玉(ごおう)宝印の札と松の枝にツツジの花をそえて田の水口にさす風もみられた。…

【花】より

…苗代の水口にツツジなど季節の花をさすのは,農耕の開始にあたって田の神を迎えるしるしである。陰暦4月8日に竹ざおの先に山から採ってきた花をつけ,家の門口に高く掲げる風は〈卯月(うづき)八日の天道花(てんとうばな)〉と呼ばれる。この日は山遊びといって近くの山に登り,ツツジの花などを採ってくる。…

【フジ(藤)】より

…一方で,フジの花はその垂れ下がる形から稲穂を連想させ,豊作を予兆する神聖な木ともされた。農作業の始まる卯月八日(うづきようか)に天道花(てんとうばな)などといってツツジやヤマブキの花とともにフジの花を山から採ってきてさおの先につけ,庭先に立てる風習は広い。この日は花折節供ともよばれるように,山から農作の神を迎える日であり,庭先に立てる花は神を招く依代(よりしろ)であった。…

【山遊び】より

…このように3月3日の場合には雛祭と結合し,すでに女性や子どもの行事となっている所が多い。4月8日(卯月八日)の場合には,単に霊山に登るとだけしている所もあるが,山からウツギ,ツツジ,シャクナゲなどを摘んできて庭先に立てる風が近畿地方には多くあり,高花,天道花などといわれている。灌仏会と結合している点も多いが,元来は農事開始に先だって,山から祖霊なり田の神なりを迎えてきて祭ることを目的としたものだと解釈されている。…

※「天道花」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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