奈呉の浦（読み）ナゴノウラ

デジタル大辞泉

なご‐の‐うら【奈呉の浦】

⇒奈呉なご

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

なご【奈呉】 の 浦(うら)

1. 富山県新湊市放生津浦の古名。また、そこにあった放生津潟（現在の富山新港）の古名。なごの海。歌枕。
   1. [初出の実例]「波立てば奈呉能宇良未(ナゴノウラミ)に寄する貝の間なき恋にそ年は経にける」(出典：万葉集（８Ｃ後）一八・四〇三三)

出典　精選版 日本国語大辞典

日本大百科全書(ニッポニカ)

奈呉ノ浦
なごのうら

富山県北部、射水市(いみずし)、富山湾岸の旧放生津潟(ほうじょうづがた)一帯の古地名。かつては景勝の地で、越中守(えっちゅうのかみ)大伴家持(おおとものやかもち)も「東(あゆ)の風いたく吹くらし奈呉の海人(あま)の釣する小舟(をぶね)漕(こ)ぎ隠る見ゆ」（『万葉集』巻17）などの歌を残し、放生津八幡宮(はちまんぐう)にその歌碑がある。奈呉の江という地名が残る。

［深井三郎　2023年9月20日］

[参照項目] | 大伴家持 | 放生津潟

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

奈呉ノ浦
なごノうら

富山県北西部，富山湾の伏木港から放生津潟にかけての沿海の古称。奈呉ノ江，奈呉ノ海とも呼ばれた。射水市に属し，市内に地区名としての奈呉の江が残る。越中国に在任した国守大伴家持が「東風 (あゆ) をいたみ奈呉の浦廻 (み) に寄する波…」と詠んでいる。富山湾特有の寄り回り波による海岸浸食が激しかったため護岸工事が行なわれた。また，富山新港の開港によって，付近のかつての景観はほとんど失われた。

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