奈摩(読み)なま

日本歴史地名大系 「奈摩」の解説

奈摩
なま

中世よりみえる五島地名で、西浦部青方にしうらべあおかた村のうち。嘉元三年(一三〇五)三月日の峰貞陳状案(青方文書、以下断りのない限り同文書)に「奈馬」とみえ、浦部島の下沙汰の青方能高が居住していたという。同年に青方氏・曾禰氏らとともに放火狼藉を行った下手人として那摩藤五入道がおり、当地名を称する者の存在が知られる(同年六月日峰貞注進状案)。元応二年(一三二〇)五島西浦部青方をめぐる青方高光とその兄高継との相論が和与となり、「なま」の本屋敷は高光の知行分とされ(同年一〇月二一日青方高光和与状案)鎮西探題によって認められた(同年一一月九日鎮西裁許状案)。高継は元亨二年(一三二二)養子の亀法師丸に「なまのうちまかりミち」の屋敷を譲り(同年五月二三日青方高継譲状案・同年六月日青方高継譲状案)、元徳二年(一三三〇)には「うのゝみくりやのうち五たうにしうらめあおかたの村なま」の「やかためのさき」を次男の青方高能に譲っている(同年閏六月二日青方覚性譲状案)。同四年には高能の兄高直が「なまのはま」の屋敷を高能に譲与している(同年二月二八日青方覚性・高直連署譲状案)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の奈摩の言及

【上五島[町]】より

…東シナ海漁業の基地で,西海岸交通の中心でもあり,遣唐使船の寄港地として知られる青方港は1981年重要港湾に指定され,湾入部には石油公団による世界初の洋上石油備蓄基地が完成し,88年10月より操業を開始した。底引網,定置網などを主とする漁業が盛んで,北部の奈摩漁港は底引網漁業の根拠地である。ハマチ,真珠,ワカメの養殖も行われる。…

※「奈摩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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