(読み)ヘン

デジタル大辞泉 「変」の意味・読み・例文・類語

へん【変】

[名]
事態が移り変わること。変化すること。
「不意に風雨の―に出逢うことも」〈鉄腸雪中梅
急に異常な事態の起こること。また、その事態。「承久じょうきゅう」「万一のに備える」
音楽で、本来の音より半音低いことを示す語。フラット。⇔えい
[形動][文][ナリ]
普通と違っているさま。ようすがおかしいさま。「な服装」「車の調子がだ」
思いがけないさま。「事件はな方向に発展した」
[類語](2事変有事戦時非常時乱世革命戦争非常いくさたたか戦役せんえきえきへい兵馬へいば兵戈へいか干戈かんか会戦合戦かっせん交戦戦火兵火戦乱兵乱戦雲戦塵せんじん戦禍せんか大戦戦闘緊急急難異変変事珍事ハプニング奇跡/(1変におついやにいつにない異常異様奇異奇妙みょう面妖めんよう不思議不可解不審不自然奇怪奇態風変わり特異異状異例非常別条変ちくりん変てこ変てこりん妙ちきりんけったいおかしいおかしな奇天烈きてれつ珍奇新奇珍妙奇抜奇警奇想天外突飛ファンシー突拍子もない言語道断無茶めちゃむちゃくちゃめちゃくちゃめちゃめちゃ滅法法外無理乱暴無体理不尽非理不当不条理不合理非合理狂的

へん【変〔變〕】[漢字項目]

[音]ヘン(呉)(漢) [訓]かわる かえる
学習漢字]4年
それまでとは別の状態になる。かわる。かえる。「変化変革変形変更変色変身変遷変動一変応変激変神変千変転変豹変ひょうへん不変
突然起こる異常な出来事。「変乱異変凶変事変政変大変天変地異
普通でない。「変死変人
音楽で、本位音より半音低い音。「変音・変記号

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精選版 日本国語大辞典 「変」の意味・読み・例文・類語

へん【変】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 変わること。事態が移り変わること。変化すること。推移。変遷。
    1. [初出の実例]「大地においてはことなる変をなさず」(出典:平家物語(13C前)一二)
    2. 「時に随ひ変に応ず」(出典:談義本・風流志道軒伝(1763)五)
    3. [その他の文献]〔易経‐繋辞・上〕
  3. 異常の事件が起こること。社会的に大きな影響を与えるような事件が、不意に起こること。政変や動乱などが発生すること。また、その事件や出来事。
    1. [初出の実例]「明治一新の変に遭ふて」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉八)
    2. [その他の文献]〔史記‐周本紀〕
  4. 病気が急に悪化すること。病状が急変すること。
    1. [初出の実例]「脉体よければ別条はあるまじ。〈略〉定めし変はあるまじ」(出典:浮世草子・風流曲三味線(1706)五)
  5. ( 形動 ) ふつうとは異なっていること。正常ではないこと。また、疑わしいこと。不思議であること。奇妙であること。また、そのさま。→変に
    1. [初出の実例]「始皇帝、烏頭馬角の変におどろき〈略〉本国へこそかへされけれ」(出典:平家物語(13C前)五)
  6. 音楽用語。
    1. (イ) 東洋音楽、特に雅楽で、五声中の一音を一律すなわち半音だけ低くしたもの。
    2. (ロ) 西洋音楽で、ある音符に対して半音低いこと。フラット。〔楽典初歩(1888)〕

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普及版 字通 「変」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

(旧字)變
23画

[字音] ヘン
[字訓] かわる・かえる・あらためる・みだれる

[説文解字]
[その他]

[字形] 会意
旧字は變に作り、(ばん)+攴(ぼく)。〔説文〕三下に「(かは)るなり」と訓し、声とするが、攴は〔伝〕に「攴は爲すことるなり」というように、撃つことを示す字で、はその撃つべき対象である。〔広雅、釈詁三〕に「剔(あなど)るなり」とあり、變とは変改することをせまる呪儀をいう。言は神に対する立誓で、誓盟をいう。言の両旁に、呪飾として糸飾りがある。その盟誓の書を撃つことは、その盟誓を破り、これを変改することを示す。ゆえに変更・変乱・事変の意となる。変更のもその初形はに作り、丙形の器を撃つ呪儀を示す字である。改の初文は、巳(蛇)形のものを殴(う)つ形。改(かいかい)という祓いの儀礼も、は祟(たたり)をなす呪獣を(う)つ形で、(亥)は祟(すい)ともと同字である。およそ「うつ」ことによって、呪的にものを変更しうるという考えがあった。金文の〔散氏盤(さんしばん)〕に「爽(さうへん)」という語があり、中に盟誓の器をおく形。「變」のような儀礼は、中の聖所で行われたのであろう。

[訓義]
1. かわる、かえる。
2. あらためる、うつりかわる。
3. みだれる、おとろえる、もとる、そむく、やぶる。
4. わざわい、あだ。
5. もののけ、ふしぎ、あやし。

[古辞書の訓]
名義抄〕變 カフ・カハル・ウシナフ・ヤハラク・アラタム・アタラシ・カタチ・マレナリ・タツ 〔字鏡集〕變 ウツラフ・ヤハラグ・ウシナフ・マレナリ・アラタム・カフ・タツ・カヘル・ヒラク・カタチ・カハル・ヤシナフ

[熟語]
変異・変移・変易・変応・変化・変火・変改・変壊・変怪・変革・変格・変換変咎・変形・変計・変権・変現・変幻・変見・変故・変更変詐・変災・変作・変事・変辞変質・変商・変象・変色変心・変身・変人・変衰・変変節・変遷・変体・変態・変置・変徴変調・変通・変天変転・変動・変・変風・変文・変貌・変法・変名・変滅・変容・変乱・変例・変
[下接語]
異変・一変・運変・応変・化変・卦変・禍変・譌変・改変・怪変・奇変・変・機変・急変・凶変・劇変・激変・譎変・権変・虎変・災変・三変・事変・時変・小変・神変・世変・正変・政変・千変・遷変・桑変・大変・地変・通変・天変・転変・動変・万変・百変・変・不変・風変・物変・兵変・釉変・容変・耀変・流変

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岩石学辞典 「変」の解説

ギリシャ語のエピ(epi)は英語のupon, outerの意味.この語は様々な意味で接頭語として用いられた.(1) ギュンベルは変質として使用した.一般に鉱物組成が変化した岩石の名称に限って使用した[Gümbel : 1888].しかし,変質作用で変化したドレライトdolerite)のような他の岩石と鉱物組成が類似している閃緑岩(diorite)に,接頭語を付けて変閃緑岩(epidiorite)として使ったのは間違いである.(2) グルーベンマンは,変成作用の上部ゾーン(upper zone)の岩石に限って使用した[Grubenmann : 1907].このゾーンは中程度の温度と低い静水圧で優勢な片圧が働く地域であり,岩石は一般に千枚岩,緑泥石片岩,滑石片岩,ポーフィロイド,一部の大理石や珪岩などがある.関連する語としてmesoおよびkataがある.(3) ラクロアは,深部での鉱物的および化学的な変質作用で完全に元の形状が隠されてしまった火成岩に限定して使用した[Lacroix : 1920, 1933].関連する語としてmataおよびparaがある.

岩石が変成したことを表す接頭語で,火成岩源または堆積岩源の岩石名の前に使用し,その岩石の鉱物,化学組成,構造が変成作用や変質作用で改変されたことを意味する[Van Hise : 1904, Loewinson-Lessing : 1905, Lacroix : 1920, 1933].もとの岩石の構造が認められるような変成岩の場合に使用し,変輝緑岩(meta-diabase)などと用いる.ギリシャ語でmetaは後,の意味.

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「変」の意味・わかりやすい解説


へん

音楽理論用語。宮,商,角,徴,羽の五音に付して,そのもとの音よりわずかに低い (多くは一律下) ことを示す。変宮,変徴,変商などと用いる。 (えい) に対する。

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デジタル大辞泉プラス 「変」の解説

変[HEN]

奥浩哉による漫画作品。普通の高校生男子と彼を好きになった不良少年の、男×男の恋愛ギャグ漫画。『週刊ヤングジャンプ』1989年~1994年に連載。集英社ヤングジャンプコミックス全13巻。1996年テレビ朝日系列でドラマが放映された。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【説話画】より

…仏教説話は仏伝,本生,譬喩(ひゆ)説話に大別されるが,それらはインドにおいてストゥーパのレリーフや壁画などに造形され,西域,中国に流伝し,各種の浄土図にも及んだ。これら説話画は,漢訳経典においては〈変〉〈変相〉と称され〈変現〉の意味を有する(変相図)。唐代になると〈変〉は仏教説話に限らず,世俗的題材の説話美術にまで拡大された。…

【仏画】より

…厨子絵に描かれる諸尊の配置は,堂内壁画と密接な関係があり,壁画の伝統性をよく保持し,壁画形式を脱皮しえないまでも,堂内の所要の個所に安置することができるため,厨子絵によって仏画はようやく寺院壁画から離脱して,移動の自由を獲得するにいたった。(3)額絵 仏台や牙台と呼ばれる台上に柱を立てて〈補陀落山浄土変〉や〈薬師浄土変〉の額絵を装着する記載が《西大寺流記資財帳》(宝亀11年(780)奥書)にあり〈障子絵〉と注記され,この額絵形式は古くから存することが知られる。この種の遺品としてはわずかに《吉祥天像》(薬師寺)がある。…

【変相図】より

…本来,単に変,もしくは変相といい,広義の仏教説話を絵画,浮彫,彫塑などで造形化したもの。変とはもともと仏教用語で,サンスクリット語パリナーマpariṇāmaの訳語とされ,〈転変〉のことをいうが,ここではさらに派生した〈変現〉の意味に用いられ,仏教説話や経典の内容,そこに説かれた譬喩,奇跡譚などで視覚的な造形に表現したものを指すようになった。…

【変文】より

…さらに必ずしも特定の経典によらずに,釈迦の本生譚やその他の仏教説話を自在に潤色しながら語り,かつ唱うのもあり,さらには仏教とは関係なく中国の史伝や物語を主題とした講釈も増えてきた。 これら現存の写本には〈変文〉と題するもののほか単に〈変〉と題するものや,〈縁〉〈話〉〈詞文〉〈記〉〈讃〉など種々あるが,〈変〉とは〈維摩変〉や〈浄土変〉のように,仏典に説かれた話を絵にかいたもの(変相)をいい,敦煌の壁画にもその実物があるほか,変文の写本にも絵の付いたのや,〈幷(あわ)せて図一巻〉と題したものや,〈一鋪〉(画幅1枚の意)とか〈画本〉とか題したものがある。つまり語り手は絵の各場面を指し示しながら語り進めたのであった。…

※「変」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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