子どものいびきに注意

六訂版 家庭医学大全科 「子どものいびきに注意」の解説

子どものいびきに注意
(のどの病気)

 あなたのお子さんがいびきをかいて眠っている時に、そっとパジャマの前を開いて、胸の動きを観察してみてください。いびきに伴って、胸がへこんでいるようであれば要注意です(図15)。

 子どものいびきの原因のほとんどは、扁桃肥大(へんとうひだい)によるものです。口をあけると、のどちんこの横に大きく肥大した口蓋扁桃(こうがいへんとう)が見えます。しかし、のどちんこの後ろ上には、口からは見えませんが、咽頭扁桃(いんとうへんとう)アデノイド)という別の扁桃があります。

 アデノイドと口蓋扁桃が、ある程度以上の大きさになると鼻づまりが生じます。子どもは鼻が詰まっていても、起きている時には口をあけて呼吸ができます。しかし、眠っている時には口呼吸ができなくなり、無意識に詰まった鼻で呼吸しようとするために、いびきや、息がとまるようになってしまいます。

 鼻かぜなどによる短期間のいびきは、それほど問題ではありません。しかし数カ月以上、一晩中にわたる大きな苦しそうないびきが続くようなら、よく調べる必要があります。

 狭くなった気道を通して呼吸すると、呼吸する時に胸がへこんでしまいます。毎晩のように胸がへこむような苦しい呼吸をしていると、胸の中央部がへこんだり(漏斗胸(ろうときょう))、突出したり(鳩胸(はとむね))するといった変形を来してしまいます。いびきと胸の変形、口呼吸などを認めた時には耳鼻科への受診をすすめます。

 また、いびきがひどくなると、その影響は生活リズムの障害としても現れます。ある程度以上ひどいいびきをかくお子さんでは、目覚めが遅く、無理に起こさなければならないこと、2~3時間以上の長い昼寝、眠る時刻の遅いこと、一晩にわたるいびき、夜中に何度も目を覚ます、夜尿などの症状が出ます。

 適切ないびき治療により、子どもは早い時間に自然に覚醒し、日中は昼寝することなく遊ぶようになり、夜は疲れて早い時間に自然に眠るようになります。夜尿もほとんどの場合、改善します。

 一度、いびきをかいて眠っている時の状況を観察してみてください。最近では各家庭にビデオカメラが普及しているので、いびきのひどい時に、胸をはだけた状態で5~10分間ほど図15のような顔と胸が映るアングルで記録すると、耳鼻科の診断にとても役立ちます。インターネットでも子どものいびきについての情報を用意してあります。

 アドレス:http://www.sasjp.net


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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