子宝三番叟(読み)こだからさんばそう

精選版 日本国語大辞典 「子宝三番叟」の意味・読み・例文・類語

こだからさんばそう【子宝三番叟】

  1. 歌舞伎所作事。常磐津。鳥羽屋里長作曲天明七年(一七八七)開曲。初世常磐津文字太夫の追善と、二世文字太夫の襲名披露の催しに出され、以後祝儀曲となり、後年振付けもされた。三番叟千歳(せんざい)大名太郎冠者に配し、その子宝四季の遊びを語る。後に義太夫節新内節にも同名の曲が作られた。

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改訂新版 世界大百科事典 「子宝三番叟」の意味・わかりやすい解説

子宝三番叟 (こだからさんばそう)

常磐津節,新内節の曲。常磐津節のほうは《常磐種》によると1787年(天明7)2月1日の初世常磐津文字太夫七回忌追善に当たって,高弟兼太夫の2世文字太夫襲名披露が行われ,その祝儀曲として上演されたとある。《常磐種》には本曲のこれ以前の上演記録はなく,これが初演と考えられる。作曲は初世鳥羽屋里長と2世岸沢式佐であろう。作詞者は不明。素踊の祝儀曲として各流で振り付けられている。能《》の三日之式の中で三番が千歳に対して世の中で最もめでたい者は子徳人であるとして,〈おとよ,けさよ〉ら10人の子供の名を挙げる。この趣向をとり入れ,四季それぞれの子供の遊びを風物詩的に描いたのが本曲で,はなやかな節付となっている。新内節のほうは2世鶴賀鶴吉の直伝曲であるが,作詞・作曲ともに不明。1825-30年(文政末)ころの成立。新内の祝儀曲としてよく上演されている。内容は《三番叟》を基にしているが,常磐津と異なり,〈とうとうたらり〉に始まり,千歳の舞のくだりで新内独特の節になり,三番叟の揉ノ段に続いて舟歌長持歌を取り入れるなど変化に富んだにぎやかな曲である。
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