コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

 おきな

11件 の用語解説(翁の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


おきな

古くから伝わる神事儀礼の舞曲で,五穀豊穣,延命長寿,子孫繁栄を祈り,白式尉 (はくしきじょう) の面の翁と,黒式尉の三番叟 (さんばそう) と直面 (ひためん) の千歳 (せんざい) とで演じる。能楽においてはことに様式化され,公式の演能の最初に演じられたものであるが,今日では祝賀,追善,正月などのおりに特に演じるだけとなった。

本文は出典元の記述の一部を掲載しています。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉の解説

おう〔ヲウ〕【翁】

男の老人。おきな。

㋐接尾語のように用いて男の老人の敬称とする。「芭蕉」「福(ふく)」「沙(さ)(シェークスピア)」
㋑単独で代名詞のように用いる。「の伝記を読む」

おう【翁】[漢字項目]

常用漢字] [音]オウ(ヲウ)(漢) [訓]おきな
男の老人。おきな。「村翁老翁白頭翁不倒翁
男の老人の敬称。「杜翁(とおう)(トルストイ)奈翁(なおう)(ナポレオン)
[名のり]おい・おき・とし・ひと
[難読]信天翁(あほうどり)

おきな【翁】

年取った男。おじいさん。⇔嫗(おうな・おみな)
老人の自称。
「―の申さむことは聞き給ひてむや」〈竹取
能などに用いる老人の面。おきなめん。
[補説]曲名別項。→

おきな【翁】[曲名]

能で、別格に扱われる祝言曲。翁・千歳(せんざい)三番叟(さんばそう)の三人の歌舞からなり、正月初会や祝賀能などの最初に演じられる。翁役は白色尉(はくしきじょう)、三番叟役は黒色尉(こくしきじょう)という面をつける。→式三番(しきさんば)

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

百科事典マイペディアの解説

翁【おきな】

(1)能の儀式曲。古くは式三番とも。五流現行。能の大成前の面影を残し,天下泰平,五穀豊穣の祈りとして神聖に扱われている。詞章を神歌とも呼ぶ。白い翁の悠久(ゆうきゅう)の舞,千歳(せんざい)の若さの舞,三番叟(さんばそう)の動的また飄逸(ひょういつ)な舞の3部からなる。
→関連項目狂言方

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. ご提供する『百科事典マイペディア』は2010年5月に編集・制作したものです

世界大百科事典 第2版の解説

おきな【翁】

日本の各種の古典芸能に演じられる儀式的祝言曲。中世の猿楽能をはじめ,田楽能,近世の人形浄瑠璃歌舞伎,邦楽曲や,民俗芸能中の神楽,田遊び,延年,田楽などでも演じられる。
[発生]
 芸能本来の目的の一つに人の延命を願うことがあるが,その表現として老翁・老媼を登場させることが古くからあったらしく,平安時代の田植行事などにみられる。しかし翁面をつけた者が舞や語りを演じる芸能は,猿楽の中に最も早くみられ,〈翁猿楽〉とか〈式三番〉と称せられた。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

大辞林 第三版の解説

おう【翁】

( 名 )
男の老人。おきな。
老人を敬っていう語。 「 -の業績」
( 代 )
一人称。年配の男性が、へりくだる気持ちで用いる。 「 -も此所まで罷越し待合すべし/蘭学事始」
( 接尾 )
老年の男子の名に付けて敬意を表すのに用いる。 「芭蕉-」 「沙-(=シェークスピア)」

おきな【翁】

年とった男。おじいさん。 ↔ おうな 「竹取の-」
男の老人を親しんで呼ぶ語。また、老人の尊敬語。
老人が自分をへりくだっていう語。 「 -の申さむ事は聞き給ひてむや/竹取」

おきな【翁】

能の一。翁・千歳せんざい・三番叟さんばそうの三役による祭儀的な歌舞で構成され、天下泰平・国土安穏・五穀豊穣を寿ことほぐ。古来神聖な曲として他の曲と別種に扱われ、現在でも特別に儀礼的な演能には、脇能物の前に付けて最初に演じられる。種々の秘事口伝があり、演者は別火精進などして役に臨む。翁役は白色尉はくしきじようという白い翁面、三番叟役は黒色尉こくしきじようという黒い翁面をつける。式三番しきさんば

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


おきな

能の曲目。能の曲のなかで成立がもっとも古く、かつ神聖視されている曲で、祝いの場で演じられる。能では別曲扱いをされ、構成など能の他の曲と違っており、神楽(かぐら)の構成と似たところがある。父尉(ちちのじょう)、延命冠者(えんめいかじゃ)、翁、三番叟(さんばそう)を含めて翁ということもあるが、一般には翁の曲だけをいう。現在の能の『翁』は、最初に翁を演ずる者と地謡(じうたい)とが掛け合いで「とうとうたらり……」という謡に「ところ千代までおはしませ、われらも千秋さむらおう、鶴(つる)と亀(かめ)との祝にて幸ひ心にまかせたり」という今様四句神歌を交えて謡い、続いて千歳(せんざい)の舞になる。千歳が舞っている間に、翁は仮面をつけ、千歳の舞が終わると、翁役の者が立ち上がり、神歌を謡い、めでたい舞を舞う。舞が終わると翁は面をとり退場するが、それを翁帰り(おきながえり)という。続いて『三番叟』の「揉(もみ)の段」「鈴の段」の舞が始まる。観世(かんぜ)、宝生(ほうしょう)流では千歳をシテ方が勤め、面箱(めんばこ)持ちを狂言方が勤めるが、金春(こんぱる)、金剛(こんごう)、喜多(きた)流では狂言方が千歳を勤め、面箱持ちを兼ねる。この千歳舞を含めた一連の舞を『翁』とよんでいる。千歳の名称は室町時代からで、それ以前は露払いとよび、古くは稚児(ちご)が演じていたようである。翁は大治(だいじ)元年(1126)の『法華(ほっけ)五部九巻書』にすでに出ており、その成立は古い。『法華五部九巻書』では父叟、翁、三番と記されており、父叟を釈迦(しゃか)、翁を文珠菩薩(もんじゅぼさつ)、三番を弥勒(みろく)にあてており、仏教的解釈がなされている。延命冠者は、鎌倉中期の記録に初めて出てくるが、父尉の子ということになっている。父尉、延命冠者は今日特別な場合のみに行われる。世阿弥(ぜあみ)の『風姿花伝(ふうしかでん)』には翁を稲積(いなづみ)の翁、三番叟を世継(よつぎ)翁(よなつみの翁とも)といったとあり、五穀豊饒(ほうじょう)の神という考えがみえる。後世、翁はいろいろな神にあてられた。翁の発生については、古代の農耕行事に発したという説、大嘗会(だいじょうえ)の稲実(いなのみ)の翁に発したという説、仏教の呪師(じゅし)に発したという説、神楽に発したという説などいろいろある。民俗芸能には各種の翁がある。能の『翁』の原形を思わせるもの、崩れをなすものなどである。三河(愛知県)の花祭の翁は自分の履歴を滑稽(こっけい)に語り、内容が三番叟に近い。翁は祝言曲なので、後世、河東節(かとうぶし)、地歌、長唄(ながうた)、人形劇などにも取り入れられ、めでたいときに舞われた。
 翁面は日本の仮面のなかで特色ある存在であり、色を白色に塗り、顎(あご)が切顎(きりあご)になっており、目をへの字型にくりぬき、笑いをたたえ、肉づきのよい、健康な福相をたたえた面である。三番叟面も翁と同型だが、黒色で、翁に比べると品格がない。父尉面も翁と同型だが、肉色が多く、目はつり上っており、強さを感ずる。延命冠者面は笑いを浮かべた少年の顔で、切顎でない。切顎の理由は寿詞を述べるためといわれている。切顎形式は舞楽面の採桑老(さいそうろう)にあるが、これは笑ってはおらず老衰の表情である。また、能の尉面(じょうめん)は頭部に植毛があり、中間表情をとっている面がほとんどで笑ってはいない。神の面が笑いの表情をとっているというのは特徴的である。
 なお、一般用語としては、老女を示す嫗(おうな)に対して男性の老人を示す語で、老人を親しみ呼ぶ語、老人が自己をへりくだっていう語、また老人の敬称としても用いられる。[後藤 淑]
『能勢朝次著『能楽源流考』(初版・1938/再版・1979・岩波書店) ▽本田安次著『翁そのほか』(1958・明善堂) ▽後藤淑著『能楽の起源』(1975・木耳社) ▽後藤淑著『続能楽の起源』(1981・木耳社)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典内のの言及

【延命冠者】より

…《式三番》における役の名,またその役専用の面の名。《式三番》は古い猿楽の伝統を伝える演目で,翁(おきな)・三番叟(さんばそう)・父尉(ちちのじよう)の三老翁による祝福の歌舞三番をさすが,その父尉に従って登場する若者がこの延命冠者である。上記のうち父尉だけは室町時代から特殊な催し以外演じなくなったので,この役もめったに見られない。…

【宿神】より

…その背後には夙(しゆく)の神の意も寓されていたと思われる(宿(しゆく))。金春(こんぱる)禅竹の《明宿(めいしゆく)集》は,猿楽者集団が神聖視する翁および翁面につき,その由来を説く伝書であるが,その根底に宿神信仰がある。すなわち,猿楽の翁は宿神の具象と観じたのである。…

※「翁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

翁の関連キーワード一・壱一・壱・壹逸・一・佚・溢・逸一再ざら車乗小雑色一、二、三─死一色町一本木

今日のキーワード

災害派遣

天災地変その他の災害に際して,人命または財産の保護のために行なわれる自衛隊の派遣。災害出動ともいう。都道府県知事などの要請に基づいて,防衛大臣が派遣することを原則とするが,特に緊急を要する場合,要請を...

続きを読む

コトバンク for iPhone

翁の関連情報