日本大百科全書(ニッポニカ) 「学校週6日制」の意味・わかりやすい解説
学校週6日制
がっこうしゅうむいかせい
公立学校で毎週土曜日と日曜日を休業日とした学校週5日制を見直し、学校の1週の授業日を6日にする制度。授業時間を増やすことで学力を向上させることがねらいである。2013年(平成25)2月には、下村博文(しもむらはくぶん)(1954― )文部科学大臣が現行の週5日制を見直し、週6日制へ移行するための具体的な検討に入ったことを明らかにした。2012年に行われた衆議院選挙の際には、公立学校の土曜日授業の再開は自民党の政権公約になっており、2006年の第一次安倍晋三(あべしんぞう)政権下で設けた教育再生会議でも、土曜日に授業を行うことができるようにすることが提言されていた。
学校週5日制は、公立の幼稚園、小・中・高等学校などで1992年(平成4)9月からの毎月第2土曜日だけの休業に始まり、2002年度の完全週5日制実施まで、およそ10年間をかけて移行。2002年3月には文科省が学校教育法施行規則の一部を改正し、法的な拘束力をもたせた完全週5日制が実現した。しかし、徐々に子供の学力低下論争やゆとり教育批判が目だつようになり、週5日制見直しの議論が盛んになった。2010年度には東京都教育委員会が小・中学校の土曜日の授業を月2回まで容認。法律の改正はされないまま、2012年度からは、福岡県や横浜市をはじめとして全国的な広がりをみせはじめており、すでに週6日制への移行は必然ともいえる環境が整いつつある。学力向上を図ることを目的に学ぶ内容が増補された新学習指導要領が、2011年度から小学校で、2012年度からは中学校でも導入され、実際のカリキュラムにおける授業時間数の不足が問題となったことが大きな理由である。
なお、学校教育法施行規則では、私立学校の休業日に関しては学校ごとに判断ができることになっており、当初より週5日制を採用しなかった学校も多い。アメリカやヨーロッパをはじめ、諸外国の多くでは、学校週5日制が中心となっている。
[編集部]