学校週5日制(読み)がっこうしゅういつかせい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「学校週5日制」の意味・わかりやすい解説

学校週5日制
がっこうしゅういつかせい

学校の1週の授業日を5日に短縮する制度。

実施までの経緯

第二次世界大戦後の一時期、GHQ(連合国最高司令部)の教育改革一環として、5日制が実施されたが、実験の域を出なかった。1960年代後半から70年代にかけて、労働時間短縮と絡めて日本教職員組合を中心に議論され、その間、1973年(昭和48)に文部大臣奥野誠亮(せいすけ)が、公務員の週休2日制導入論にあわせ検討を指示したが、具体化しなかった。その後、週休2日制が普及するなかで、86年に臨時教育審議会が第二次答申で「時短」と「生涯学習体系の整備」の観点から、5日制への移行を検討するよう提唱した。これは、労働時間短縮を目ざす政府の「経済運営五か年計画」、92年度(平成4)中に公務員の完全週休2日制を目ざす人事院勧告などと志向性を一にし、学制発布以来続いた「学校週6日制」の見直しに結び付いた。

[岡東壽隆]

実施の状況

文部省(現文部科学省)は「社会の変化に対応した新しい学校運営等に関する調査研究協力者会議」の報告を受け、学校週5日制の実施を決定し、1992年3月23日付けで次官通達、初等中等教育局長、生涯学習局長の通知が出された。その内容は、当面、月1回の学校週5日制を実施することとし、92年度の2学期から、毎月の第2土曜日を休業日とした。その後95年4月から月2回(第2・第4土曜日)の実施となり、公立学校の完全学校週5日制は2002年4月から実施された。

[岡東壽隆]

今後の課題

学校週5日制の実施においては、教育課程編成・実施上の課題、学校運営上の課題、家庭地域社会における子供の生活体験の充実という課題がある。すなわち、
(1)子供が自ら考え、主体的に判断して行動できる資質能力を育成する観点からの学習指導の充実
(2)地域に開かれた学校づくり
(3)子供の生活体験、自然体験、社会体験を豊かにする多様な活動
を求めている。5日制は単に制度変革ではなくて、教育観の転換を求める。5日制の完全実施で時間的にも精神的にも「ゆとり」をもち、子供自らが「生きる力」を身につけてゆく、そのような子供の姿が期待されている。

[岡東壽隆]

『林孝著『家庭・学校・地域社会の教育連携――学校週5日制導入による保護者の意識変化』(1998・多賀出版)』『日本教育経営学会編『シリーズ教育の経営4巻 生涯学習社会における教育経営』(2000・玉川大学出版部)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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