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ゆとり教育 ゆとりきょういく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ゆとり教育
ゆとりきょういく

無理のない学習環境で子供たちがみずから学び考える力の育成を目指した教育。暗記中心の知識の詰め込み教育や過度の受験競争が,いじめ不登校少年非行を誘発しているとの批判をうけ,偏差値重視の教育を廃止してゆとりのある教育に転換し,生きる力を育成しようという趣旨のもと実施された。1977年の学習指導要領改定で「ゆとりと充実」がうたわれ,1999年の全面改正(2002実施)によって実質的に始まったといわれる。教科にとらわれない「総合的な学習の時間」の新設,絶対評価(→相対評価)の導入のほか,学校週 5日制を完全実施,土曜日の授業時数が減り,各教科の学習内容は一律に 3割程度削られた。しかし,こうした措置による学力低下が問題となり,2008年2月,文部科学省中央教育審議会答申に沿い,授業数の増加を盛り込んだ学習指導要領改定案を発表した。2008年3月要領が改定され,ゆとり教育からの転換がはかられた。

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デジタル大辞泉の解説

ゆとり‐きょういく〔‐ケウイク〕【ゆとり教育】

昭和52年(1977)の学習指導要領の改定で導入された考え方。「受験戦争」と「落ちこぼれ」対策として教科内容と授業時間数を削減して児童生徒の負担を軽減し、余った時間を教科の枠に縛られない総合的な学習に当てる。問題点として学力の低下が指摘された。

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百科事典マイペディアの解説

ゆとり教育【ゆとりきょういく】

第15期中央教育審議会第1次答申(1996年7月)において,子供たちの生活の現状として〈ゆとり〉のない生活を指摘。その上で,答申は〈ゆとり〉のある教育環境で〈ゆとり〉のある教育活動を展開することを通して,子供たち一人一人が大切にされ,教員や仲間と楽しく学び合いの活動をし,〈生きる力〉を身につけていくことの重要性を指摘している。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ゆとり教育
ゆとりきょういく

1976年(昭和51)、教育課程審議会(1950設置、2001中央教育審議会に統合)は、授業についていけない子どもが多いのは、学習内容が過密なためであり、これが不登校の増加や授業が荒れる原因になっているという考えのもと、そうした状況への対応策として、「ゆとり教育」に言及した。同審議会は87年には、より積極的にゆとり教育の必要性を説くようになり、ゆったりと授業を受けられるように、教材を削減する答申を出した。
 1989年(平成1)、教育課程審議会の答申を受けた文部省(現文部科学省)は、ゆとり教育の導入を狙いとした教育課程の改訂を発表した(92年度から実施)。98年、文部省はゆとり教育をさらに進めるため、教材を精選した教育課程を採用した(2002年度から実施)。しかし、この新しい教育課程は、教材の「3割削減」と受け止められ、社会的な反響を巻き起こした。なかでも、小学5年生で扱う小数点は10分の1の位までとされているところに、「(円周率は)目的に応じて3を用いて処理する」とあったことから「円周率が3になる」と報道されたため、このような改訂は基礎学力の低下につながると批判の声が高まった。
 2002年度(平成14)から、学校の完全週5日制が実施されることになり、年間授業日数は202日程度になった。その結果、小学6年生の総授業時間数は、1968年度(昭和43)の年間1085時間から、89年度の1015時間を経て、98年度には945時間と、30年の間に140時間減少している。また「総合的な学習の時間」も導入されており、その分だけいわゆる「教科」の時間が減った。国語を例にすると、1968年度には245時間あった授業が、89年度の210時間、98年度の175時間へと、70時間も授業時間が減少している。
 こうした状況から、学力低下が社会問題化し、ゆとりをもたせることはよいが、現状はゆとりのもたせすぎではないか、という批判が高まった。文部科学省も態度を変え、学習指導要領は「最低基準」を示すもので、学校ごとに保護者や児童の状況を視野において、その学校なりの教育課程を編成してほしいとしている。
 このように、ゆとり教育は学力低下を心配する声の高まりのなかで、指導理念としての妥当性を失い始めている。それだけに、「学力保障」と「ゆとりある教育」とをいかに両立させるかが、これからの学校の大きな課題になりつつある。[深谷昌志]
『和田秀樹著『学力崩壊――「ゆとり教育」が子どもをダメにした』(PHP文庫) ▽寺脇研著『21世紀の学校はこうなる――ゆとり教育の本質はこれだ』(新潮OH!文庫) ▽市川伸一著『学力低下論争』(ちくま新書) ▽苅谷剛彦著『教育改革の幻想』(ちくま新書)』

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