日本大百科全書(ニッポニカ) 「学際的研究」の意味・わかりやすい解説
学際的研究
がくさいてきけんきゅう
in-terdisciplinary study
「学際」interdisciplinaryとは、本来、学問の一専門領域とそれに隣接する他の領域の間に存在する中間領域を意味する。したがって、その中間領域の研究を試みようとするのが学際的研究ということになる。しかし一般的には、学際的研究は、一つの目的と関心のもとに、多くの隣接する学問領域が協業して研究するものとされている。実際に協業的研究に基づく学際的研究は、公害問題から平和研究、さらに宇宙開発などさまざまな領域において行われ、それなりの成果をあげつつある。こうした学際的研究が要請される背景には、これまでに専門化、細分化を進行させてきた学問のみではとうてい対処できない問題が今日の社会のなかで噴出し、それらの解明が急務とされるようになったことがあげられる。それゆえに、社会からの現実的要求は学問の総合化志向を生み出し、各専門領域において達成してきた成果の結集を強く求めることになった。今後、学際的研究は広範な分野においてその必要性を高めることはいうまでもない。しかし、同研究において重要なことは、どの学問領域を協業させるかという点であり、研究の具体的目的にとらわれすぎて協業の範囲を少なく限定することのないように注意する必要があろう。つまり、各研究テーマに対して、自然、社会、人文の各科学を網羅した異専門間協業を図りうるよう努力することが必要である。
[青木一能]