宇多河庄(読み)うだがわのしよう

日本歴史地名大系 「宇多河庄」の解説

宇多河庄
うだがわのしよう

宇田うだ川流域に成立した庄園。庄名は近世宇多川庄に引継がれ、明治二二年(一八八九)に成立した宇田川村一帯に比定される。当庄は上下に分れ、その東には宇多河東庄が成立したと考えられるが、宇多河庄上庄と宇多河東庄は同一である可能性もある。宇多川とも記された。

仁安三年(一一六八)三月日の日吉社聖真子宮彼岸所下文案(壬生家文書)に「伯耆国宇多河庄」とみえ、当庄はもと僧心豪の相伝私領であったが、保元年中(一一五六―五九)近江国日吉社の二季彼岸御油の庄園として寄進され、国司より租税免除された。次いで長寛元年(一一六三)の頃、日吉社の大宮および二宮の九月相撲会料として心豪より寄進されて、四至示が打たれた。しかし、仁安二年新任の国司平時宗によって停止されたため、社司らが訴え平時忠より安堵され、翌三年三月心豪は当庄の沙汰人となった。元久二年(一二〇五)当庄の地頭職大原の来迎おおはらのらいこう(現京都市左京区)に施入された(「吾妻鏡」元久二年九月一九日条)。承久二年(一二二〇)八月、近江日吉社の小比叡こひえ社社司らは、九月相撲会の饗膳拝殿の畳および毎月の朔幣御供を備進する「宇多川上下庄」に賦課された造内裏役の免除を申請している(「日吉社司等解」民経記寛喜三年六月巻裏文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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