宇宙開闢説(読み)うちゅうかいびゃくせつ(英語表記)cosmogony

翻訳|cosmogony

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宇宙開闢説」の意味・わかりやすい解説

宇宙開闢説
うちゅうかいびゃくせつ
cosmogony

宇宙の発生についての神話的な物語。天地,人間をはじめとする各種生物,社会組織など事物起源は,すべての神話の主要なテーマであるが,そのなかでも最初の世界,または宇宙の発生は,すべてのものに先立つものだけに,重要なテーマとなっている。天地,宇宙の開闢神話はとりわけ高度に発展した文化圏にみられ,その内容から,創造型と発展型の二つに大別することができる。創造型とは,宇宙の成立を制作行為になぞらえて理解するもので,『聖書』の創世記にみられるように,創造神が単独で制作するという形式と,最高神が他と共同でこれを生み出すような形式とがある。記紀国生み神話に語られるように,世界の発生を神々の生殖行為にかたどってみる例も多い。発展型とは,このように何らかの意図的な介入なしに,宇宙がいわば自然に生じたとするもので,ある最初の物質混沌のなかから現れたとするもの,宇宙卵ないし胚芽から成長したとするもの,あるいはまた人間や動物の姿をもつ原存在の体ないし死体から,万物が生じたとするものなどがある。これらは一応の区別であって,多くは,たとえば,中国の盤古神話のように,宇宙卵モチーフと原人化生モチーフが結合したものである。宇宙開闢神話は,それが形成された時期世界像を示したものとみられるが,時とともに,そのなかから新しい思弁が展開する基盤となったことも,注意しなければならない。

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世界大百科事典(旧版)内の宇宙開闢説の言及

【古生物学】より

…とはいえ,当時の学者はキリスト教の教義の枠からはみ出ることはなかったので,神の創造による生物の化石は天地創造とノアの洪水から始まる伝統的歴史年表の中に位置づけられた。18世紀になると,博物学者らによってこのような宇宙開闢(かいびやく)説cosmogonyに磨きがかけられる一方,化石の優れた写生図を伴った体系的分類が進められ,古生物学への下地を作った。18世紀の博物学者らは化石とそれを含む地層の岩質との対応関係をおおまかに知っていたが,W.スミス(1769‐1839)によって生層位学(化石層位学)の方法が確立され,広域の地層対比のための化石の価値が明らかにされた。…

※「宇宙開闢説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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