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宇宙背景放射 うちゅうはいけいほうしゃcosmic background radiation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

宇宙背景放射
うちゅうはいけいほうしゃ
cosmic background radiation

およそ 137億年前,宇宙が大爆発(→ビッグバン説)を起こしたときに出た光の名残りで,2.725Kの黒体放射電磁波として宇宙のあらゆる方向から地球にやってくる。宇宙の膨張の初期,光は物質と強く相互作用して宇宙は不透明な状態にあった。膨張で宇宙の温度が 1万K以下になると陽子電子が結合して中性になり,物質は光に対して透明になる。これを宇宙の晴れ上がりと呼ぶ。黒体放射の温度は宇宙膨張によってさらに下がり,現在は 2.7Kの電波として観測される。その発見は 1965年,ベル電話研究所のアーノ・ペンジアスとロバート・ウィルソンによる。彼らは通信電波の雑音測定をしていたが,受信機以外の電波雑音が宇宙からやってくるのに気づいた。ロバート・ディッケらは,これがジョージ・ガモフの予言した火の玉宇宙(ビッグバン)の名残りの電波であると解釈した。この発見によって進化論的宇宙論が確立した。背景放射の強度は方向によらずおよそ一定で,宇宙の物質分布がほぼ等方的であることを示している(→等方性)。1977年には約 0.1%の非等方性が検出されたが,これは銀河系が背景放射に対して秒速約 300kmの速度で運動しているためであると考えられている。20世紀の最後期には,背景放射の 10万分の1程度のゆらぎが,COBE宇宙背景探査機)および WMAP(ウィルキンソン・マイクロ波非等方性観測衛星)により詳細に測定され,宇宙論の諸パラメータ(ハッブル定数,宇宙年齢,ダークマターやダークエネルギー密度)が精度よく決定された。(→宇宙の起源と進化

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デジタル大辞泉の解説

うちゅう‐はいけいほうしゃ〔ウチウハイケイハウシヤ〕【宇宙背景放射】

宇宙のあらゆる方向から同じ強度で入射してくる、絶対温度が約3ケルビン黒体放射に相当する電波。1965年に米国のA=A=ペンジアスとR=W=ウィルソンが発見。ビッグバン、およびインフレーション宇宙論を支持する観測的な証拠であると考えられている。宇宙背景輻射。宇宙黒体放射宇宙マイクロ波背景放射3K放射3K背景放射3K黒体放射CMB(cosmic microwave background radiation)。CBR(cosmic background radiation)。

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百科事典マイペディアの解説

宇宙背景放射【うちゅうはいけいほうしゃ】

宇宙全体をほぼ一様に満たしている電波。電波の強度が絶対温度約3Kに相当することから3K放射とも呼ばれる。ビッグバン宇宙論からその存在が予測されていたが,1965年にA.ペンジアスとR.ウィルソンがそのような放射が実際に宇宙空間に充満していることを発見した。

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世界大百科事典 第2版の解説

うちゅうはいけいほうしゃ【宇宙背景放射 cosmic background radiation】

宇宙には,個々の天体の放射する電波,銀河系の中で発生する電波などのほかに,宇宙全体を一様に満たしていると考えられる電波が存在している。アンテナをどの方向にむけても同じ強度で入射してくることからこの名称がある。電波の強度が絶対温度約3Kに相当することから3K放射,電波のスペクトルが黒体放射の性質を有することから宇宙黒体放射などとも呼ばれる。 この電波は,1965年,アメリカの技術者ペンジアスA.A.PenziasとウィルソンR.W.Wilsonによって発見された。

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大辞林 第三版の解説

うちゅうはいけいほうしゃ【宇宙背景放射】

宇宙のあらゆる方向から来る、絶対温度2.7度の黒体放射に相等する電磁波。ビッグバン宇宙論の有力な証拠となった。宇宙黒体放射。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

宇宙背景放射
うちゅうはいけいほうしゃ
Cosmic Background Radiation

宇宙をほぼ一様等方に満たしている電磁波放射。マイクロ波、赤外線、X線、γ(ガンマ)線といったさまざまな波長帯域で観測されている。
 マイクロ波帯域の宇宙背景放射は、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)とよばれ、宇宙開闢(かいびゃく)の名残(なごり)である。宇宙マイクロ波背景放射のことを単に宇宙背景放射とよぶこともある。
 宇宙赤外線背景放射は、宇宙初期に形成された星や銀河によるものと考えられている。宇宙X線背景放射や宇宙γ線背景放射は、遠方の銀河の中心にある活動銀河核によるものと考えられている。これらはいずれも宇宙初期の星形成や銀河形成のようすを探る手段として注目され、背景放射の起源を探る研究が行われている。[山崎 了]
『佐藤文隆著『宇宙物理』現代物理学叢書(2001・岩波書店)』

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世界大百科事典内の宇宙背景放射の言及

【宇宙】より

…もっとも大きい階層である超銀河団よりも大きな尺度で宇宙を眺めた場合の特徴ということもできる。それは宇宙の一様・等方性,ハッブルの法則および3K(絶対温度3度)の宇宙背景放射の三つである。 第1は超銀河団より大きな尺度で宇宙を眺めた場合,すなわち数億光年より大きな尺度では,宇宙の物質(天体)の分布は一様で等方であるように見えることである。…

※「宇宙背景放射」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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