宇宙をほぼ一様等方に満たしている電磁波放射。マイクロ波、赤外線、X線、γ(ガンマ)線といったさまざまな波長帯域で観測されている。
マイクロ波帯域の宇宙背景放射は、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)とよばれ、宇宙開闢(かいびゃく)の名残(なごり)である。宇宙マイクロ波背景放射のことを単に宇宙背景放射とよぶこともある。
宇宙赤外線背景放射は、宇宙初期に形成された星や銀河によるものと考えられている。宇宙X線背景放射や宇宙γ線背景放射は、遠方の銀河の中心にある活動銀河核によるものと考えられている。これらはいずれも宇宙初期の星形成や銀河形成のようすを探る手段として注目され、背景放射の起源を探る研究が行われている。
[山崎 了]
『佐藤文隆著『宇宙物理』現代物理学叢書(2001・岩波書店)』
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宇宙には,個々の天体の放射する電波,銀河系の中で発生する電波などのほかに,宇宙全体を一様に満たしていると考えられる電波が存在している。アンテナをどの方向にむけても同じ強度で入射してくることからこの名称がある。電波の強度が絶対温度約3Kに相当することから3K放射,電波のスペクトルが黒体放射の性質を有することから宇宙黒体放射などとも呼ばれる。
この電波は,1965年,アメリカの技術者ペンジアスA.A.PenziasとウィルソンR.W.Wilsonによって発見された。ビッグバン宇宙論によれば,宇宙の初期には高温,高密度の時期があり,宇宙はまったく不透明であったと考えられている。それが,膨張とともに温度が下がり数千度になったところで透明になる。この晴れ上がりのときにあった光が赤方偏移によって波長が長くなって電波になり現在まで残っているのがこの電波である。現在,この電波は,波長20cmから0.1mmの間で測定され,スペクトルはほぼ黒体放射に従うこと,0.01%程度と非常に少ないが強度に非等方性があることなどが知られている。
執筆者:森本 雅樹
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…もっとも大きい階層である超銀河団よりも大きな尺度で宇宙を眺めた場合の特徴ということもできる。それは宇宙の一様・等方性,ハッブルの法則および3K(絶対温度3度)の宇宙背景放射の三つである。 第1は超銀河団より大きな尺度で宇宙を眺めた場合,すなわち数億光年より大きな尺度では,宇宙の物質(天体)の分布は一様で等方であるように見えることである。…
※「宇宙背景放射」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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