守らふ(読み)マモラウ

デジタル大辞泉 「守らふ」の意味・読み・例文・類語

まもら・う〔まもらふ〕【守らふ】

[動ハ四]《動詞「まもる」の未然形+上代の反復継続助動詞」から》じっと見つめている。見守りつづける。
「伊那佐の山の木の間よもい行き―・ひ戦へば」〈・中・歌謡
[動ハ下二]
見つめる。
講師の顔をつと―・へたるこそ、その説くことの尊さもおぼゆれ」〈三三
守る。保護する。→まぼらう
「まがふ方なく一つ所を―・へて」〈夕霧

まぼら・う〔まぼらふ〕【守らふ】

[動ハ下二]《動詞「まぼる」の未然形+反復継続の助動詞「」から》「まもらう」に同じ。
中納言かたちのいと美しげなる、―・へて居給へり」〈宇津保・国譲中〉
「われらを討たんとて、こなたを―・へ」〈義経記・八〉

もら・う〔もらふ〕【守らふ】

[動ハ四]《動詞「」の未然形に反復継続の助動詞「」がついて一語化したもの》じっと見つめている。うかがっている。
「此の瓜食らふを―・ひ居たり」〈今昔・二八・四〇〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「守らふ」の意味・読み・例文・類語

まもら‐・う‥ふ【守う】

  1. [ 1 ] 〘 連語 〙 ( 動詞「まもる(守)」の未然形に、反復・継続を表わす助動詞「ふ」の付いたもの ) 見守りつづける。じっと見つめている。
    1. [初出の実例]「楯並めて 伊那佐の山の 樹の間よも い行き麻毛良比(マモラヒ) 戦へば」(出典古事記(712)中・歌謡)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙
    1. 見守る。じっと見つめる。
      1. [初出の実例]「目を放ち給はず、まもらへておはする」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲下)
    2. 守る。保護する。大事にする。
      1. [初出の実例]「宜しうなりぬる男の、かく、まがふ方なく、一つ所をまもらへて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕霧)

もら‐・う‥ふ【守う・候う】

  1. 〘 他動詞 ハ行四段活用 〙 ( 動詞「もる(守)」の未然形に反復・継続を表わす助動詞「ふ」が付いて一語化したもの ) 見守り続ける。じっと見つめている。
    1. [初出の実例]「烏常に啄み効ひて、日毎に来り候(モラ)ふ。〈真福寺本訓釈 候 毛良不〉」(出典:日本霊異記(810‐824)下)

まぼら・うまぼらふ【守】

  1. 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙 ( 室町時代はヤ行にも活用した ) =まもらう(守)[ 二 ]
    1. [初出の実例]「前にふせて、つねまぼらへてぞある」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲上)

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