精選版 日本国語大辞典「ふ」の解説
ふ
※古事記(712)上・歌謡「をとめの 寝(な)すや板戸を 押そぶら比(ヒ) 我が立たせれば」
※万葉(8C後)一五・三六九一「秋萩の 散ら敝(ヘ)る野辺の 初尾花 仮廬に葺きて」
② その動作が継続して行なわれる意を表わす。…し続ける。ずっと…する。
※古事記(712)中・歌謡「楯並めて いなさの山の 木の間よも い行き目守(まも)ら比(ヒ) 戦へば」
③ その変化がずっと進行していく意を表わす。次第に…する。どんどん…していく。
※万葉(8C後)三・四七八「常なりし 笑(ゑ)まひふるまひ いや日異(け)に 変はら経(ふ)見れば 悲しきろかも」
[語誌](1)語源は、動詞「ふ(経)」と関連づける説もあるが、動詞「あふ(相・合)」で、本来、動詞の連用形に接したものとすべきであろう。「万葉集」などでは「相・合」の字を用いていることも多く、また、動詞「あふ」との複合した形と区別できかねるものもある。
(2)動詞の表わす作用の発現の様態にかかわるものであり、動詞に密着して、間に他の助動詞などを入れることがない。それで接尾語として扱う説もある。
(3)「移ろふ」「よろほふ」など、動詞の語尾がオ列音に変わっている例も多い。
(4)「流らふ」「伝ふ」「よそふ」など、下二段活用動詞「流る」「伝(つ)つ」「寄す」に「ふ」が付いたと思われる例がある。ただし、これらの「ふ」は下二段型活用である。なお、「捕らふ」「押さふ」などにも下二段型活用をする「ふ」があるが、これらは、語源を下二段動詞「敢(あ)ふ」に求めることもできる。
(5)中古以降では、「ふ」の受ける動詞がきまってくるので、「ふ」を伴ったものを一語の動詞と見なすのが常である。上代でも、「さもらふ」「向かふ」など、まったく一語化しているとみてよいものがある。
(2)動詞の表わす作用の発現の様態にかかわるものであり、動詞に密着して、間に他の助動詞などを入れることがない。それで接尾語として扱う説もある。
(3)「移ろふ」「よろほふ」など、動詞の語尾がオ列音に変わっている例も多い。
(4)「流らふ」「伝ふ」「よそふ」など、下二段活用動詞「流る」「伝(つ)つ」「寄す」に「ふ」が付いたと思われる例がある。ただし、これらの「ふ」は下二段型活用である。なお、「捕らふ」「押さふ」などにも下二段型活用をする「ふ」があるが、これらは、語源を下二段動詞「敢(あ)ふ」に求めることもできる。
(5)中古以降では、「ふ」の受ける動詞がきまってくるので、「ふ」を伴ったものを一語の動詞と見なすのが常である。上代でも、「さもらふ」「向かふ」など、まったく一語化しているとみてよいものがある。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報