安定賃金(読み)あんていちんぎん

日本大百科全書(ニッポニカ)「安定賃金」の解説

安定賃金
あんていちんぎん

向こう数年間の賃上げ内容をまえもって決定することを条件に、その期間労働組合は賃上げ要求や争議をしないという労使間の長期賃金協定のこと。企業が長期経営計画のなかで賃金の総合管理(狭義の賃金のみならず、一時金、退職金、福利厚生費などを含む労務費の安定化)を計画的に行おうとするものである。賃上げ決定の基準として一般に用いられているのは、同業他社の賃上げ内容にリンクする方式(ぶら下がり方式)であり、このほかに当該企業の付加価値生産性上昇率や国民経済成長率を基準とする方式もある。安定賃金制度は、1950年代末から1960年代にかけて春闘高揚に対抗して経営者側によって提起された。これに対して労働組合は労働者の賃上げ要求の権利を実質的に制限し、労働組合の弱体化につながると批判した。

[伍賀一道]

『日本経営者団体連盟編『安定賃金――賃金観念の新しい転換』(1959・日本経営者団体連盟弘報部)』『日本労働組合総評議会編『安定賃金――日経連新政策とのたたかい』(1963・労働旬報社)』

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百科事典マイペディア「安定賃金」の解説

安定賃金【あんていちんぎん】

比較的長期の賃金協定を締結し,その間の賃上げは,労資の団体交渉によらず,同業他社の賃上げ額,その企業の付加価値生産性,あるいは所定の額などを基準として行うもの。日本では1959年労組が主張する春闘賃上げ方式に対抗して日経連が打ち出し,その後,経営者の賃金政策の基本路線の一つとなっている。
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