朝日日本歴史人物事典 「実敏」の解説
実敏
生年:延暦7(788)
平安前期の三論宗の僧。講説にたけたことで知られる。尾張国(愛知県)愛智郡の人。俗姓は物部氏。13歳で伯父の中安に従って入京し,玄叡,入唐僧の永忠に師事,西大寺に属した。弘仁10(819)年に興福寺維摩会の論議で名を挙げ,承和8(841)年に同会の講師を勤める。翌年の御斎会で『金光明最勝王経』を講じ,仁明天皇から賞賛された。同10年に律師となり,のちに大僧都に昇進した。嘉祥3(850)年に内裏清涼殿において,法相宗の明詮,天台宗の光定らと『法華経』を講じ,三論宗の教義を説いて各宗と肩を並べた。
(岡野浩二)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報