宮崎学(読み)みやざきまなぶ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「宮崎学」の意味・わかりやすい解説

宮崎学
みやざきまなぶ
(1949― )

動物写真家。長野県上伊那郡生まれ。中学を卒業後、精密機器製作会社に勤務する。仕事のかたわら写真を撮りつづけ、長野県写真連盟の支部である旭光(きょっこう)カメラクラブに半年間所属する。1966年(昭和41)『アサヒカメラ』誌の月例コンテストに滑空するムササビの写真が入選する。以後、カメラ雑誌の月例コンテストへの入賞を重ねる。

 72年に会社をやめ、フリーランス写真家として活動を始める。中央アルプスのふもと、長野県南部の伊那谷に居をかまえ、動植物に恵まれた環境を生かして動物写真を撮りつづける。動物たちの通り道に自動撮影装置を取りつけ、野生の姿を撮影した「けもの道」のシリーズなど、ニホンカモシカニホンザルフクロウなどの哺乳類猛禽類の撮影で独自の分野を開拓し、自然雑誌『アニマ』や図鑑、単行本などに作品を発表する。

 78年に最初の個展「けもの道」をニコンサロン(東京、大阪)で開催。同年、写真集ふくろう』(1977)により絵本にっぽん大賞を受賞する。79年に写真集『けもの道』を刊行。82年『鷲と鷹』(1981)により日本写真協会新人賞、90年(平成2)『フクロウ』(1989)により土門拳賞を受賞。95年、写真週刊誌FRIDAY』に連載した「アニマル黙示録」および写真集『死』(1994)により講談社出版文化賞、日本写真協会年度賞を受賞する。

 近年は、動物の生態を通して人間社会が抱える問題を浮かび上がらせることをテーマに制作活動を展開。

 そのほかの主な著書に『からす』(1976)、『けもの道の四季』(1984)、『鷲鷹ひとり旅』(1987)、『樹想』(1997)などがある。

[関次和子]

『『からす』(1976・福音館書店)』『『ふくろう』(1977・福音館書店)』『『けもの道』(1979・共立出版)』『『鷲と鷹』(1981・平凡社)』『『僕は動物カメラマン』(1983・どうぶつ社)』『『けもの道の四季』(1984・平凡社)』『『鷲鷹ひとり旅――孤高の猛禽を追って』(1987・平凡社)』『『フクロウ』(1989・平凡社)』『『死――Death in Nature』(1994・平凡社)』『『アニマル黙示録』(1995・講談社)』『『野生動物が見つめるゴミ列島』(1996・太郎次郎社)』『『樹想』(1997・アウレット)』『「ネイチャー・ワールド――地球に生きる」(カタログ。1997・東京都写真美術館)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「宮崎学」の解説

宮崎学 みやざき-まなぶ

1949- 昭和後期-平成時代の写真家。
昭和24年8月10日生まれ。昭和47年精密機器メーカーを退社。フリーとなって動物写真にとりくみ,夜間の自動撮影装置などを工夫して独自の分野を開拓する。平成2年土門拳賞,7年日本写真協会年度賞,講談社出版文化賞写真賞。長野県出身。写真集に「ふくろう」「けもの道」「鷲と鷹」「アニマル黙示録」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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