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小繋事件 こつなぎじけん

百科事典マイペディアの解説

小繋事件【こつなぎじけん】

岩手県小繋村(現在の一戸(いちのへ)町小繋)の入会(いりあい)権をめぐり農民と地主とで争われた一連の事件。小繋山は旧南部藩以来入会山林だったが,明治以後,それが個人の所有地になってもその慣行が続いていた。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

小繋事件

小繋の集落では江戸時代から、山を共同利用する入会の慣行により小繋山で木材を伐採し生計を立ててきた。1915(大正4)年に大火に遭い、再建のために木を伐採しようとしたところ、茨城県の地主がこれを認めず紛争が始まった。17年第1次小繋訴訟、46年第2次小繋訴訟。地元が地主賛成派、反対派に二分される中、55年に無断で木を切ったとして森林法違反容疑などで11人が逮捕、9人が起訴される刑事事件に発展。59年盛岡地裁では入会権ありとして全員無罪。63年仙台高裁では地裁判決を破棄し有罪。66年最高裁では上告を棄却し全被告の有罪が確定した。これらの経緯は反対派農民の弁護を引き受けた故・戒能通孝氏の「小繋事件―三代にわたる入会権紛争」(64年、岩波新書)に詳しく書かれている。

(2010-06-08 朝日新聞 朝刊 岩手全県 1地方)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

小繋事件
こつなぎじけん

岩手県二戸(にのへ)郡一戸(いちのへ)町字(あざ)小繋の小繋山の入会(いりあい)権をめぐる一連の争訟事件。1915年(大正4)の小繋大火ののち、地元農民が小繋山から建築用材を切り出そうとしたところ、地主である鹿志村亀吉(かしむらかめきち)は所有権を盾にそれを阻止した。しかし農民側は先祖代々の入会権を主張し、半世紀にわたり民事と刑事の訴訟が重ねられた。17年の第一次民事訴訟は原告農民側の敗訴、46年(昭和21)の第二次訴訟は仙台高等裁判所の職権調停の判決を受けた。また森林法違反で農民側が起訴されていた刑事訴訟は、66年1月、最高裁判所が入会権消滅と判断し、全被告を有罪とした。この間、小繋では早稲田(わせだ)大学農村調査団の法的助言を受けたり、世界母親大会に代表を派遣するなど幅広い運動が展開されていった。また、法社会学者の戒能通孝(かいのうみちたか)が、『小繋事件』(岩波新書)を著し、東京都立大学教授の職をなげうって刑事訴訟の弁護団に加わるなど、学問の実践化に努めたことは有名である。[小田部雄次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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