岩手県北部、二戸郡(にのへぐん)にある町。1889年(明治22)町制施行。1957年(昭和32)小鳥谷(こずや)、姉帯(あねたい)、鳥海(ちょうかい)、浪打(なみうち)の4村と合併。第三セクターIGRいわて銀河鉄道(旧、JR東北本線)が通じる。馬淵(まべち)川上流の河岸段丘上に位置する。奥州街道(国道4号)の宿駅として発展し、町名が示すように古くは牧士田(ぼくしでん)の地で、第二次世界大戦時までは馬産地であった。米作のほかリンゴやタバコ栽培などが行われ、西岳山麓(さんろく)は開拓者により酪農、高冷地野菜の適地となった。1972年から高森高原を中心に国営大規模草地造成が進められ、畜産振興が図られた。奥中山地区にはスキー場、特別支援学校などがあり、鳥越地区では伝統的な竹細工による椅子(いす)、花器などを産出する。景勝地の浪打峠(末の松山)や特別天然記念物の根反の大珪化木(ねそりのだいけいかぼく)などがある。面積300.03平方キロメートル、人口1万1494(2020)。
[川本忠平]
岩手県二戸(にのへ)郡の町。人口1万4187(2010)。県北部に位置し,北から西は二戸市に接する。西は奥羽山脈,東は北上高地の山々が占め,中央部を馬淵川が北流し,川沿いにわずかの低地がみられる。中心の一戸は古くから奥州街道の宿場として発達し,近年は東北本線(現,IGRいわて銀河鉄道),国道4号線が通り,八戸自動車道のインターチェンジがある。第2次世界大戦前は馬産地として知られた。酪農,畜産,畑作を中心とする農業が主要産業で,山麓丘陵地では酪農の育成団地化や搾乳加工団地化が進められ,またレタス,アスパラガスなど高冷地野菜が栽培されている。ほかに高級品種移行が進むリンゴ,タバコなどの栽培も盛ん。歴代の南部藩主の信仰を集めた鳥越観音や日本一といわれる根反の大ケイ化木(特天),実相寺のイチョウ(天),藤島のフジ(天)などがあり,浪打峠(末の松山)の景勝地もある。
執筆者:松橋 公治
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