小醍醐寺跡(読み)しようだいごじあと

日本歴史地名大系 「小醍醐寺跡」の解説

小醍醐寺跡
しようだいごじあと

[現在地名]宇治市炭山久田

明治まであった真言宗の寺。木幡こはたへ通じる長坂ながさか道が長坂峠への登りにかかる左側に、女人によにん堂と称する観音堂が残る。江戸時代は山城醍醐寺の末寺であった。醍醐山山上には西国三十三所観音霊場の一一番札所上醍醐観音堂があるが、かつては女人禁制とされていたため、女人堂がこの地に設けられた。建保三年(一二一五)創建と伝え、境内の光明杉(老木は大正二年倒壊)に影向した如意輪観音を祀る。醍醐寺御支配記(醍醐寺文書)によれば、近世中期には秘仏とされ、三三年ごとに盛大な開帳が行われていた。寛保三年(一七四三)の場合、京都・大津・伏見の市中へ計一八枚の開帳札を立て、「炭山村女人堂就開帳、於彼村相願候品々覚」によれば、辻打猿狂言、歌念仏、花相撲、楊弓、小的、見せ物、物真似素浄瑠璃歌祭文、煮売店、水茶屋が掛けられ、三〇日間に及んだとあるから(醍醐寺御支配記)、西国巡礼の流行と相まって当寺が繁栄したことが推察されよう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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