小野流(読み)オノリュウ

デジタル大辞泉 「小野流」の意味・読み・例文・類語

おの‐りゅう〔をのリウ〕【小野流】

真言宗事相じそうにおける東密二流の一。平安初期の僧聖宝しょうぼうを祖とし、その弟子仁海にんかい山城国小野に曼荼羅まんだら寺(随心院旧称)を建て、この流儀を広めた。→広沢流ひろさわりゅう

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精選版 日本国語大辞典 「小野流」の意味・読み・例文・類語

おの‐りゅうをのリウ【小野流】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 真言宗事相上の一流。空海第四世の法孫聖宝が創始したもの。のち、仁海が京都醍醐小野に曼荼羅寺を開いてその流儀を広めたのでこの名がある。うち、仁海の直弟成尊の弟子範俊より生じた勧修寺寛信・安祥寺宗意・随心院増俊の流派小野三流を、成尊の弟子勝覚より生じた醍醐三流に対していうこともあり、また、随心院流だけを小野流ということもある。これらの流派は、師資相承口伝を重んじる。小野密派。⇔広沢流(ひろさわりゅう)。→小野三流小野六流
    1. [初出の実例]「彼元杲(げんがう)の弟子仁海僧正、又知法の人なりき。小野と云所にすまれけるより小野流と云」(出典神皇正統記(1339‐43)中)
  3. 剣術の一派。近世初期、小野二郎右衛門忠常の始めたもので、一刀流の刀術を伝える。小野派。小野派一刀流。〔本朝武芸小伝(1716)〕
  4. 小野道風の筆法をくむ、書道の一流派。
    1. [初出の実例]「堪忍あそばして給はれと小野流(ヲノリウ)のふるひ筆をとめてつかはせば」(出典:浮世草子武道伝来記(1687)六)

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世界大百科事典(旧版)内の小野流の言及

【真言宗】より

… 空海没後は,その高弟真済真雅,実慧などがよく師の志を継ぎ,高野山を発展させた。こののち事相(灌頂・修法などの具体的な儀式作法)面で,小野曼荼羅寺の仁海が大成した小野流と広沢遍照寺の寛朝が大成した広沢流に分かれ,さらに2流はおのおの6流ずつに分派して〈野沢(やたく)根本十二流〉とも称せられるほど,その分化ははなはだしくなった。平安時代末期に至って覚鑁(かくばん)(興教大師)があらわれ,高野山上に大伝法院などを建立して,真言教学の再興,全密教法流の統一をはかった。…

【随心院】より

…通称小野門跡。平安中期に真言宗小野流の開祖仁海僧正が開創したと伝える牛皮山曼荼羅(まんだら)寺を起源として,5世増俊のとき随心院と改称。鎌倉時代に最盛期を迎え,門跡寺院・天皇祈願所となり,堂宇も整備されて多くの寺領荘園をもち,真言宗の二大法流の一つ小野流の大道場として栄えた。…

【仁海】より

…小野の地にちなみ小野僧正と呼ばれ,また元杲に伝受した請雨経法を得意とし,祈雨の法験ことに優れたので,世に雨僧正とたたえられた。のちにその法流は小野流と呼ばれ,広沢流と並んで東密の二大流派を形成した。【速水 侑】。…

※「小野流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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