… 空海没後は,その高弟真済,真雅,実慧などがよく師の志を継ぎ,高野山を発展させた。こののち事相(灌頂・修法などの具体的な儀式作法)面で,小野曼荼羅寺の仁海が大成した小野流と広沢遍照寺の寛朝が大成した広沢流に分かれ,さらに2流はおのおの6流ずつに分派して〈野沢(やたく)根本十二流〉とも称せられるほど,その分化ははなはだしくなった。平安時代末期に至って覚鑁(かくばん)(興教大師)があらわれ,高野山上に大伝法院などを建立して,真言教学の再興,全密教法流の統一をはかった。…
…通称小野門跡。平安中期に真言宗小野流の開祖仁海僧正が開創したと伝える牛皮山曼荼羅(まんだら)寺を起源として,5世増俊のとき随心院と改称。鎌倉時代に最盛期を迎え,門跡寺院・天皇祈願所となり,堂宇も整備されて多くの寺領荘園をもち,真言宗の二大法流の一つ小野流の大道場として栄えた。…
…小野の地にちなみ小野僧正と呼ばれ,また元杲に伝受した請雨経法を得意とし,祈雨の法験ことに優れたので,世に雨僧正とたたえられた。のちにその法流は小野流と呼ばれ,広沢流と並んで東密の二大流派を形成した。【速水 侑】。…
※「小野流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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