少府(読み)しょうふ

精選版 日本国語大辞典 「少府」の意味・読み・例文・類語

しょう‐ふ セウ‥【少府】

〘名〙
① (「しょうぶ」とも) 内匠寮(たくみりょう)の唐名。また、その職名としても用いる。〔職原鈔(1340)〕
内蔵寮(くらりょう)の唐名。また、その職名としても用いる。
※菅家文草(900頃)二・秋夜、宿弘文院「紀司馬以他門去、藤少府因入室留」
古代中国の官名。秦代には山海・地沢の税を収納し、天子供御(くご)をつかさどった帝室財政の官。漢代には、宮中の服御・宝貨・珍膳のことをつかさどった。〔漢書‐百官公卿表〕
④ 中国、唐代、県の丞尉の称。
随筆・駒谷芻言(1782)「県令明府と称し、県の丞尉を少府と称することは誰も知たることなれど」 〔称謂録‐典史・少府〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「少府」の意味・わかりやすい解説

少府
しょうふ
Shao-fu

中国,古代の財務官庁。前漢では天子の家産的収入 (おもに山海池沢よりの上がり) を管轄し,帝室財政をまかない,長官は九卿に列せられた。後漢以降,国家財政を司る大司農にその主要部門を吸収され,宮廷の使用する器物や工芸品を製作する役所となる。唐では五監の一つ。多数の工匠を集めて工房で製作にあたらせ,製品を上進した。南宋以降おおむね廃止され,その仕事はだいたい工部に引継がれた。

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世界大百科事典(旧版)内の少府の言及

【九卿】より

…中国,秦・漢における三公の下に設けられた中2000石の大臣をいう。太常(祭祀をつかさどる),光禄勲(宮内諸殿の宿衛),衛尉(宮門および禁中の警備),太僕(天子の車馬),廷尉(大理ともいう,刑獄),大鴻臚(接待),宗正(皇族の事務),大司農(国家財政),少府(帝室の私的生活)の正卿を指す。九卿は九寺の長官として清朝までその名が見えるが,魏・晋以後は宮中での上席や高禄をあらわす実権が伴わない称号と化した。…

※「少府」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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