内蔵寮(読み)くらりょう

精選版 日本国語大辞典 「内蔵寮」の意味・読み・例文・類語

くら‐りょう ‥レウ【内蔵寮】

〘名〙
令制で、中務省に属し、金銀珠玉宝器管理し、供進御服祭祀奉幣などをつかさどった役所。職員に、頭、助、允、大少属、大少主鎰、蔵部、価長、典履、百済手部などがあり、後に史生寮掌内蔵寮別当そのほかが加え置かれた。うちくらのつかさ。くらづかさ。
※竹むきが記(1349)上「この筥のつつみも組も心うつくしう切れ破れて、〈略〉急ぎつつみかへらるべき定め侍て、殿より注して参る。くられうの沙汰なるべし」
② 旧制度の宮内省の一寮。明治一七年(一八八四)設置。皇室事務のうち財務、主計、用度に関する事務を分掌した。職員に頭、主事が置かれた。昭和二三年(一九四八)廃止。

くら‐づかさ【内蔵寮】

※宇津保(970‐999頃)祭の使「帝、くらづかさの絹三百匹、御唐櫃(みからうず)に入れさせ、つかさの御み衣、十に入れ」

うちのくら‐りょう ‥レウ【内蔵寮】

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デジタル大辞泉 「内蔵寮」の意味・読み・例文・類語

くら‐りょう〔‐レウ〕【内蔵寮】

律令制官司の一。中務なかつかさに属し、金銀・珠玉や供進の御服、祭祀さいしの奉幣などをつかさどり、内蔵うちくらの管理を担当した。うちのくらのつかさ。くらづかさ。

うちのくら‐の‐つかさ【内蔵寮】

くらりょう(内蔵寮)

くら‐づかさ【内寮】

くらりょう(内蔵寮)

くら‐の‐つかさ【内寮】

くらりょう(内蔵寮)

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百科事典マイペディア 「内蔵寮」の意味・わかりやすい解説

内蔵寮【くらりょう】

中務(なかつかさ)省所属の令制官司。和訓は〈うちのくらのつかさ〉。慣例として〈くらのつかさ〉。《古語拾遺》に内蔵を含む三蔵(さんぞう)の伝承が載る。職掌は皇室経済を司り,令制下では大蔵省から分けられた金銀ほかの管理,天皇中宮や祭祀の装束,内侍所(ないしどころ)の供神物・装束などの調達。重要な官司で職員は頭(かみ)・助(すけ)・大允(だいじょう)・少允・大属(だいさかん)・少属の四等官と大主鎰(やく)・少主鎰各人1人,価長ほか。平安時代中期から頭は四位の殿上人が任じられるようになり,南北朝期以降は山科家世襲。明治維新で廃止,1884年宮内省に設置され1948年廃止。→大宝律令養老律令

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「内蔵寮」の解説

内蔵寮
くらりょう

「うちのくらのつかさ」とも。大宝・養老令制の中務(なかつかさ)省被管の財政官司。令制以前の内蔵(うちつくら)につながる。天皇の命を直接うけて供御(くご)を行うほか,官人への賜物,神社への奉幣などにもあたり,これらと天皇の結合の強化に寄与した。財源は大蔵省からうける原則だったが,直接諸国から調達するものもあった。歴代天皇の宝物も保管した。平安時代以降も蔵人所(くろうどどころ)の指揮下で宮中の財政の中核にあり,多くの領地や供御人を管轄するなど,財政基盤を強化した。

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世界大百科事典 第2版 「内蔵寮」の意味・わかりやすい解説

くらりょう【内蔵寮】

皇室経済をつかさどる官庁。令制では中務省に属し,明治官制では宮内省に置かれた。〈うちのくらのつかさ〉とも読んだが,のちには〈内〉の字を読まないのが慣例となり,また唐名の倉部の称も用いられた。《古語拾遺》には,神武天皇のとき宮内に蔵を建て,神物・官物(みやけのもの)をあわせ納めて斎蔵(いみくら)と称したが,履中天皇のとき別に内蔵(うちつくら)を建てて官物を分納し,さらに雄略朝に諸国の貢献物を納める大蔵を分立したという伝承を載せ,三蔵の分立として名高い。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「内蔵寮」の意味・わかりやすい解説

内蔵寮
くらりょう

律令制で,中務省に属し,宮中の御料を司った役所。金銀,珠玉,宝器などを管理し,天皇,皇后の装束や祭祀の奉幣などにあたった。長官である頭 (かみ) には従五位下のなかから有能者が任じられたが,のちには山科,高倉両家が世襲するようになった。

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世界大百科事典内の内蔵寮の言及

【内蔵寮】より

…《古語拾遺》には,神武天皇のとき宮内に蔵を建て,神物・官物(みやけのもの)をあわせ納めて斎蔵(いみくら)と称したが,履中天皇のとき別に内蔵(うちつくら)を建てて官物を分納し,さらに雄略朝に諸国の貢献物を納める大蔵を分立したという伝承を載せ,三蔵の分立として名高い。養老令や延喜式の規定によれば,内蔵寮は大蔵省から割き送られた金銀・宝器・錦綾などを保管出納し,天皇・中宮の御服・靴履その他別勅の用物,および諸社祭・陵墓の幣物,祭使の装束,御斎会以下三会の布施,御在所殿舎の灯油などを調進するのを職掌とした。そのほか内侍所の供神物や装束を調達し,供御および公卿の饗饌を弁備したことも,国史以下諸記録に見える。…

【染色】より

…しかし《延喜式》には染色の制度,工程,染法,染料などのほか,装束の用布などがかなり詳しく記されており,この時代の染色を知る重要な手がかりとなっている。制度は前代の養老律令をほぼ踏襲しており,染色は主として,平安遷都に際して新設された中務省の内蔵寮(くらりよう)や縫殿寮(ぬいどのりよう)で処理されていたと思われる。縫殿寮の定員18人中には6人の染手が,また内蔵寮の作手定員33人のなかには,夾纈手2,﨟纈手2,繧繝手2,焼灰4,採黄櫨(きはじ)1,計11人もの染色技術者が含まれており,別に染手5人がこの寮に属していた。…

※「内蔵寮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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