六訂版 家庭医学大全科 「尿が出る時に痛い」の解説
尿が出る時に痛い
にょうがでるときにいたい
Pain on urination
(お年寄りの病気)
どのような状態か
尿が出る時に、膀胱部から尿道にかけての痛みを伴う状態です。以下のような何らかの病気が原因になっています。
疑われる病気
一般的に、膀胱、前立腺、尿道に炎症(細菌が繁殖して、粘膜を傷つける)がある時、つまり膀胱炎(ぼうこうえん)、前立腺炎(ぜんりつせんえん)、尿道炎(にょうどうえん)がある時に排尿時痛が起きます。
女性の膀胱炎は高齢者でもよく起こります。とくに、神経因性膀胱(しんけいいんせいぼうこう)などで残尿がある場合は、外陰部より進入した細菌で簡単に発症します。単に抗生剤で一時的に治療するだけでなく、残尿の原因を追究して治療をする必要があります。
高齢男性の場合の膀胱炎、前立腺炎、尿道炎は、前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)による残尿が原因になっていることが多いので、この場合も原因を取り除くことが重要です。また、膀胱結石、尿道狭窄(きょうさく)がみられることがあるので、それらについての検討も必要です。
高齢者の場合、男女を問わず、時に膀胱がん、膀胱結核(ぼうこうけっかく)のこともあります。抗生剤で治療しても効果がないような場合では、これらの病気も考慮すべきでしょう。
なお、高齢者でも性的に活動的な人では、性感染症も考えられます。
阿曽 佳郎
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報