尿道狭窄は文字どおり尿道が狭くなり、それによって排尿障害を生じるものです。尿道狭窄には先天性の尿道狭窄と後天性の尿道狭窄とがあります。後天性のものは尿道組織障害後の
①先天性尿道狭窄
先天性尿道狭窄は発生学的にみると、
②後天性尿道狭窄
外傷と感染が原因になりますが、外傷によるものが多い傾向にあります。
・外傷性尿道狭窄
骨盤骨折や
通常は経尿道的手術・尿道ブジーのような、尿道内操作により尿道粘膜の傷を生じるものが最も多く、単なるカテーテル挿入によっても尿道狭窄を生じることがあります。このような場合では、操作後数年たってから偶然発見されることもあります。
・炎症性尿道狭窄
尿道炎にかかったあと、尿道壁が瘢痕性の収縮を起こすために発生します。原因としては
先天性の場合、狭窄の程度によってさまざまな症状を示します。尿道の抵抗が増すために尿流が乱流あるいは逆流となり、尿道から膀胱への細菌の侵入を許し、膀胱炎が起こりやすくなります。尿道の通過障害のため、膀胱尿管逆流症が起こったり、膀胱排尿筋が過敏になって
後天性の場合には、成人が多いため排尿困難を訴える場合が多いようです。尿路感染症を併発したり、
症状と病歴などから尿道狭窄が疑われた場合、尿道造影、尿道内視鏡で診断します。先天性で女児の場合、球頭ブジーでひっかかりがあれば診断できます。
先天性尿道狭窄では、外尿道
手術療法では内視鏡を用いて狭窄部を切開したり、尿道切開刀を用いて切開します。外傷性尿道狭窄では経会陰的に尿道を露出して瘢痕部を切除し、同部を再建します。
拡張術といって尿道ブジー、バルーンを用いて狭窄部を拡張する場合もあります。
宮北 英司
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
尿道の内径がなんらかの原因で細くなった状態をいう。先天性と後天性に大別されるが、大部分は後天性であり、男性に多い。後天性尿道狭窄の原因としては、外傷性と炎症性が代表的である。外傷性として骨盤骨折後に併発する場合は後部尿道に、また騎乗型損傷によって会陰(えいん)部を直接打撲した場合には前部尿道に狭窄を発生しやすい。さらに、外尿道口から器械を挿入して前立腺(せん)などの手術をしたあとにも、狭窄が発生することがある。炎症性のものとしては淋菌(りんきん)性尿道炎(淋疾)後や尿道結核の治癒過程で狭窄を生じることがあるが、近年その頻度は減少し、外傷性尿道狭窄が増加している。いずれも尿が出にくく、尿に勢いがなく尿線が細かったり何本かに分かれるほか、残尿感や頻尿などの症状を呈し、しばしば膀胱(ぼうこう)炎を合併する。また、長期間放置すると腎(じん)機能も低下する。
診断は尿道撮影により行われる。治療は、軽度の狭窄では金属ブジー(消息子)による尿道拡張が行われるが、しばしば再発することがある。高度の狭窄やブジー挿入不能例、繰り返しブジーが必要な症例、尿道瘻(ろう)や尿道周囲に膿瘍(のうよう)を合併した症例などに対しては、手術が必要となる。
なお、先天性尿道狭窄は尿道のどの部分にも発生しうるが、とくに外尿道口付近に多くみられ、これに対しては外尿道口切開術が行われる。
[河田幸道]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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