改訂新版 世界大百科事典 「山之井」の意味・わかりやすい解説
山之井 (やまのい)
俳諧季寄せ。北村季吟著。1647年(正保4)成立,翌年刊。季題の見出し下に異称・関連語を列挙,雅文調で解説を加え,句例を示す。季語の総数は小見出しをも加えると1300を越え,類書をはるかにしのぐ本格的な季寄の嚆矢(こうし)である。ただし,収める例句は591句を数え,発句集的性格をも帯びている。本書執筆の動機は,師貞室に味方して,重頼の《毛吹草(けふきぐさ)追加》(1647)に敵対することにあったと考えられている。本書の改訂版として,季題と公事・故事等の実用的解説文だけから成る《増山の井》(1663),その欠を補うために編まれた四季類題別発句集・付句(つけく)集の《続山の井》(湖春編,1667刊)がある。
執筆者:乾 裕幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報