カバリエリ(読み)かばりえり(英語表記)Emilio de' Cavalieri

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カバリエリ」の意味・わかりやすい解説

カバリエリ(Francesco Bonaventura Cavalieri)
かばりえり
Francesco Bonaventura Cavalieri
(1598―1647)

イタリア数学者。イエズス派修道士。ガリレイに数学を学び、早くから数学者としての名声がたっていた。著書『ある新しい理論によって進められた連続量の不可分についての幾何学Geometria indivisibilibus continuorum nova quadam ratione promota(1635)において、すべての連続量は無限小量に分割できることを出発点とし、この「無限小量」を「不可分」と名づけた。これは面積体積を求める新しい方法を示したものであるが、「不可分法」の基礎がもろく、多くの非難を浴びた。しかし現実には、のちに積分法によって確かめられたような問題を取り扱っていた。

小堀 憲]


カバリエリ(Emilio de' Cavalieri)
かばりえり
Emilio de' Cavalieri
(1550ころ―1602)

イタリアの作曲家。ローマの芸術愛好貴族の家に生まれ、1588年メディチ家の芸術顧問としてフィレンツェに招かれる。外交官としても活躍し、しばしばローマに派遣される。1600年2月ローマのオラトリオ会祈祷(きとう)所で上演された寓意(ぐうい)劇『霊と肉体の劇』は、モノディ様式で書かれ、宗教的題材のオペラあるいはオラトリオの最初の例として評価されている。02年3月11日、生地ローマで没した。

樋口隆一

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カバリエリ」の意味・わかりやすい解説

カバリエリ
Cavalieri, (Francesco) Bonaventura

[生]1598? ミラノ
[没]1647.11.30. /1647.12.3. ボローニャ
イタリアの数学者。若いときにイエズス会修道士になる。ユークリッドの『原本』の複写を読んで数学に興味をもち,数学の研究を始める。 1629年ボローニャ大学教授となり,終生その職にあった。 35年『不可分者による連続体の幾何学』を書いて求積問題に不可分者の方法を適用したが,「不可分者」の厳密な定義を欠いていたため,P.ギュルダン (1577~1643) の反論を招いた。しかし,この方法は有力な発見法で,近代の積分学の先駆とみなしうるものである。

カバリエリ
Cavalieri, Emilio del

[生]1550頃.ローマ
[没]1602.3.11. ローマ
イタリアの作曲家。モノディを創始したカメラータの一人。フィレンツェのトスカナ宮廷に仕え,のちローマで『霊と肉の劇』 (1600) を発表。この曲はモノディ様式を宗教的題材に適用した初期の作品であるため,「最初のオラトリオ」と呼ばれる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android