島大国魂神社(読み)しまのおおくにたまじんじや

日本歴史地名大系 「島大国魂神社」の解説

島大国魂神社
しまのおおくにたまじんじや

[現在地名]対馬町豊

大多おおた鎮座。旧村社で、祭神素戔嗚尊とされる。古くは島頭しまのこうべ大明神(島首神社)と称したが、とよ浦口椎根しいね(無人の磐座)に島頭と称する祭祀があったことに由来するもので、人々の立入りを禁じる聖地であった。鎮座地の椎根島は本来は椎根津彦を祀った地と推定されるが、椎根津彦は神武東征の海の案内者、とくに豊予海峡の水先案内として知られることから、瀬戸内海から朝鮮へ渡る海路の重要な祭祀であったと考えられる。当社の由緒に素戔嗚尊が子の大己貴命と五十猛命を率いて新羅曾尺茂利そしもりの地に渡ったときの行宮が設けられた跡という所伝があるのも、当地の性格を物語るものであろう。しかし祭神を素戔嗚尊とするのは検討を要する。「三代実録」貞観一二年(八七〇)三月五日条に対馬上県郡の「島大国魂神」がみえ、正五位下の神階に進んでいるが、当社はこれに比定される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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