差入(読み)さしいれ

精選版 日本国語大辞典 「差入」の意味・読み・例文・類語

さし‐いれ【差入】

〘名〙
① 中へ入れること。また、入金すること。
道草(1915)〈夏目漱石〉三二「残金〈略〉は毎月三十日限り月賦にて御差入(サシイレ)の積御対談云々」
② 警察署や拘置所刑務所などに留置または拘禁されている者に、外部から食物衣類、日用品、書籍などを届けること。また、その品物。差入品。差入物。
※良人の自白(1904‐06)〈木下尚江〉前「白井高からの差入だ━白井弁護士の妻君だ」
芝居寄席(よせ)などで、楽屋の俳優や芸人へ、客から飲食物などを贈ること。また、その贈り物。
④ ある場所の中で仕事などをしている者に、食べ物などを届けること。また、その品物。
恋慕ながし(1898)〈小栗風葉〉五「其代に、差入(サシイレ)は奮(はず)んでお下(く)んなさるだらうね」

さし‐いり【差入】

〘名〙
① 中へはいること。また、はいってすぐの所。
曾我物語(南北朝頃)七「まづ見たまふやうにとて、さしいりの障子の際にぞをきたりける」
② はいってすぐの時。その季節やその月にはいってすぐの頃。
浮世草子懐硯(1687)三「持病に顛癇(てんかん)といふものありて、年毎小寒の末大寒のさし入にかならず発(おこ)りて」
③ (「さしいりに」の形で) まずはじめに。
※身のかたみ(室町中頃)「御はなは、顔のうちのぐに、とりわきさしいりにめにたつものにて候」

さし・る【差入】

〘他ラ下二〙 (「さしいる(差入)」の変化した語) 中へ入れる。
蜻蛉(974頃)中「つとめてくふ薬といふ物、畳紙(たたうがみ)の中にさしれてありしは」

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