新撰 芸能人物事典 明治~平成 「市川春代」の解説
市川 春代
イチカワ ハルヨ
- 職業
- 女優
- 本名
- 加々良 春代(カガラ ハルヨ)
- 生年月日
- 大正2年 2月9日
- 出身地
- 長野県 長野市
- 学歴
- 長野師範附属小高等科中退
- 経歴
- 大正15年日活大将軍撮影所に入社、同年伊奈精一監督の「都の西北」に子役として出演。昭和5年「銀座セレナーデ」で花売り娘役を演じて注目を集め、6年「金は天下の廻り持ち」でヒロイン役に抜擢される。この頃来日した米国の大スターからは“和製コーリン・ムーア”と称された。以後、「海のない港」「浅草悲歌」「港の抒情詩」「花の東京」「受難華」「大学の歌」「さくら音頭」などの日活作品に出演。9年新興キネマに移り、村田実監督「花咲く樹」で現代劇女優として新生面を開く。10年千恵蔵プロに転じ、「気まぐれ冠者」で片岡千恵蔵と共演。同年重宗努監督が設立した東京発声に加盟。12年豊田四郎監督「若い人」で女学生・江波恵子役を好演、戦後3度も映画化された同作品の中でも最も優れた江波役とされ、同年度日本映画監督協会演技賞を受賞した。同年日活京都に復社、時代劇女優として「忠治子守唄」「新撰組」「出世太閤記」「牢獄の花嫁」「うぐひす侍」「鴛鴦歌合戦」「神変麝香猫」「海を渡る祭礼」「宮本武蔵・一乗寺決闘」などに出演。戦後は20年12月封切りの稲垣浩監督「最後の攘夷党」にいち早く出演、23年にはフリーとなるが、27年松竹と契約。「黒雲街道」「生さぬ仲」「西鶴一代女」「母は叫び泣く」「わが母に罪ありや」「君の名は」などに出演し、42年「夜のひとで」を最後に引退した。無声映画の頃から1960年代まで長く活躍し、出演作品は180本以上にのぼる。この間、12年エンジニアと結婚。
- 受賞
- 日本映画監督協会演技賞(昭12年度)「若い人」
- 没年月日
- 平成16年 11月18日 (2004年)
- 伝記
- 水野晴郎と銀幕の花々―日本映画の大女優たち 水野 晴郎 著(発行元 近代文芸社 ’96発行)
出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報