布施庄(読み)ふせのしよう

日本歴史地名大系 「布施庄」の解説

布施庄
ふせのしよう

古代大庭おおば布勢ふせ(和名抄)の郷名を継ぐものか。遺称地は不明であるが、明徳四年(一三九三)八月八日の牛頭天王社鐘銘(現鳥取県倉吉市長谷寺蔵)に「作州布施之庄長田村」とあり、また慶長一二年(一六〇七)福田左衛門三郎他連署売券(徳山文書)に「布施之庄六ケ村之内上徳山」があり、旭川最上流域の現川上かわかみ上徳山かみとくやまから八束村上長田かみながた・下長田一帯に推定される。「八坂神社記録」によれば、承安二年(一一七二)から始まった京都祇園社の安居会の料所としてのち源頼朝が当庄を寄進、庄役は造花御油代布・御幣紙二帖・莚鍬一一〇口・被物一重などであった。

布施庄
ふせのしよう

現田富町布施付近にあった庄園。「中右記」元永二年(一一一九)二月二三日条の「甲斐国庄名大井本名布施」の記事は、大井おおい庄が布施庄の新庄として成立したことを意味すると考えられ、この時まで大井庄は源基俊が伝領してきているから、本庄である布施庄の成立は一一世紀までさかのぼるであろう。「甲斐国志」所引の明王寺記では、当庄の古名を小井河こいかわとするが、鎌倉期には別に安楽寿あんらくじゆ(現京都市伏見区)領小井河庄が併存する。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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