…塔婆の一種で,角柱状または板状の塔身に屋根(笠)をのせたもの。塔身は石造の場合は自然石を多少加工したものもあり,六角柱などの多面体の塔身や特別に龕(がん)を設けたものは〈幢(どう)〉〈石幢(せきどう)〉として区別している。かつては《餓鬼草紙》などの絵巻にみられるような,角柱に仏龕をとりつけた木製の笠塔婆も多く製作されたと考えられるが,遺存例が少なく,現在では笠塔婆といえば石造物を指す場合が多い。…
…朝鮮の高句麗,新羅の武官名。4世紀ごろからモンゴル族など北方異民族の軍団名に幢という訳語が用いられた。6世紀の高句麗では,最高武官名に大幢主があり,幢主はその下位の武官名と推定される。…
…サンスクリットのパターカーpatākāの訳。同じような旗に幢(どう)(サンスクリットでドバジャdhvaja)があり,〈幢幡〉と熟語にしていわれることもあるが,両者の区別は必ずしも明確ではない。幡には種々の功徳があるとされ,またその素材や形状,立てる目的などによって,玉幡(ぎよくばん∥たまのはた)(宝玉で装飾した幡),平幡(ひらはた)(平絹の幡),糸幡(いとばた)(糸を束ねた幡),五色幡(青・黄・赤・白・黒の5色の幡),灌頂幡(かんぢようばん)(幡が灌頂の功徳を備えることからいう),命過幡(みようかばん)(薦亡幡(せんもうばん)ともいい,死者の追善のために立てる幡),続命神幡(ぞくみようしんばん)(延命を祈って立てる幡),送葬幡(葬列に用いる幡)などがある。…
※「幢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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