儀仗とは儀式に用いる兵仗(武器)をさす古語(《唐書》)であり,儀仗を帯びて元首の威儀整飾に任ずる兵員を儀仗兵(英語ではa guard of honour)という。現代では,不慮の変に備えて警衛に重きをおくことが多い。旧日本陸・海軍では,天皇が軍隊,艦隊を訪ねるとき,儀仗に供する部隊を儀仗兵と称した。特命検閲使そのほか特に定められた高級者に供する場合も同じである。儀仗兵を分けて儀仗隊と儀仗衛兵とし,儀仗隊は途上の警衛に,儀仗衛兵は宿舎の護衛に任じた。儀仗の細部は礼式令に定められていた。
今日では自衛隊が栄誉礼,葬送式等の際に行う礼式の一つで,天皇,皇后,皇太子,皇族,国賓等に対する場合を特別儀仗,その他の場合を通常儀仗と称し,儀仗にあたる部隊を儀仗隊という。儀仗隊は,受礼者または柩(ひつぎ)を途上で警護し,行事の行われる場所で送迎し,これに敬意を表する。送迎の際,儀仗隊は整列して受礼者を迎え,捧銃(ささげつつ)の敬礼を行い,ついで受礼者の巡閲を受ける。この際,音楽隊またはらっぱ手が音楽を奏する。儀仗隊の編成,服装,敬礼の方式,音楽の種類,奏楽回数等は受礼者の資格によって異なり,細かく規定されている。なお自衛隊の第302保安中隊は儀仗を専門とする部隊である。
執筆者:森松 俊夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…太刀身も作銘(さくめい)は佩表(はきおもて)に入れるのを常とするから,外装がなくとも,刃を上に向けて腰に差す打刀(うちがたな)の類とは容易に識別することができる。太刀の種類は礼典用の儀仗(ぎじよう)と軍陣用の兵仗(ひようじよう)に大別されるが,つねに新様式の発達にともなって,軍陣用も旧様式は形式的となり,儀仗化している。古く古墳出土の遺品は,把(柄)頭(つかがしら)に手だまりを大きくこしらえるのを特色とし,頭椎(かぶつち)といって柄頭を立体的に大きくふくらませたものと,環(鐶)頭(かんとう)といって環としたものと,方頭,円頭,圭頭などに分けられる。…
※「儀仗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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