旧陸軍の予備役初級幹部の養成制度。義務としての徴兵制度のなかで,1883年,官公立中等学校以上の卒業生で志願により在営中の費用を自弁する者に対しては現役在営期間を3年から1年に短縮する1年志願兵の制が創設された。89年,志願資格を私立学校に広げ,在営中に下士官に進級させ,さらに勤務演習と終末試験によって予備役少尉に任命する予備役幹部養成制度となった。1927年の兵役法制定で1年志願兵は幹部候補生と改称され,33年に費用自弁制を廃止し,将校養成課程の甲種と下士官養成課程の乙種に分離,38年に在営年限短縮の特権が廃止され,甲種幹部候補生は陸軍予備士官学校で教育を受け,卒業後見習士官となる制度になった。徴兵によって同時に入営しながら,高学歴者が特権的教育を受けて管理職に登用されるので,他官庁や企業でも類似の立場にある者を幹部候補生と呼ぶ習慣が生じた。
執筆者:大江 志乃夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
… 兵役法は帝国憲法の臣民義務としての兵役義務を戸籍法の適用を受ける(したがって皇族,朝鮮人,台湾の旧中国人と原住民を除外)男子に限定し(このため第52議会で兵役法違憲の質問が行われた),徴兵忌避の罰則を大幅に強化した。徴兵令との内容上の相違点は,現役4年(海軍3年),予備役5年4ヵ月(海軍4年),青年訓練所の課程を修了した歩兵は現役在営を6ヵ月短縮,第1補充兵役の教育召集期間を120日以内に延長したこと,外国在住者に在住期間中の徴集延期を認め開拓移民の奨励としたこと,1年志願兵を幹部候補生と改称し,資格者を学校教練の修了者に限り,1933年に在営中の経費自弁制を廃して予備役初級士官・下士官の大量養成制度としたこと,師範学校卒業生の1年現役兵制を5~7ヵ月の短期現役兵制に改めたことなどである。日中戦争開始以後,38年春に歩兵2年在営制復活,幹部候補生の2年現役制,朝鮮人の特別志願兵制が定められ,秋には現役の無期限延長が行われた。…
※「幹部候補生」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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